〇表象とイメージ
心の中にある情報が喚起、照合されることを「表象」と言います。例えば、サメというものは、「動物」という概念の高い分類に属し、下位にいくほど「魚」「危険である」に属します。国語ではこれを「抽象から具体」と言いますが、心理学では「階層性」と言い、抽象的な表現ほど、概念の階層が高いと表現するようです。これを実験にしたのが次のものです。
●文の真偽判断課題
例えば、①カナリアは鳥である。②カナリアは動物である。という二つの文があったとすると、どちらが早く「真」と判断できるかというと、①の方だというのです。それは、カナリアと鳥の階層性が近いことから言えるそうです。
●活性化拡散モデル
これをさらに発展させたものが、活性化拡散モデルです。これはマインドマップに近いもので、意味的距離が近いものは早く伝わることを発見しました。
●意味的プライミングの例
例えば、今から言われるものは「単語」か「非単語」かを判断するテストがあったとする。
「車」「牛乳」と言われるのと、「パン」「牛乳」と言われるのでは、後者のほうが判断がつきやすいということです。2つをつなげて考えやすいので、「ギュウニュウ」が「牛乳」であることを連想しやすかったということですね。
〇「心的回転」と「心的走査」
●心的回転
立体的な図形を二つ持ってきて、両方とも同じ図形かどうかを判断する実験。
角度が大きく変われば変わるほど反応時間が長くなったそう。
●心的走査
小屋や湖が島の地図の中にあるかを判断する実験。二つの距離が遠ければ、反応時間が長くなったそう。
〇イメージ論争(今はどちらともの説を生かした第三の説が主流)
●命題的表象説(命題派)
・カナリアとは鳥である。(イメージとは、命題や概念を処理したり変換したりする過程で付随的に生じる体験。つまり、鳥から連想するもの=イメージ)
●アナログ的表象説(イメージ派)
・リンゴの感触や舌触り(性質までもが命題の形で保持されているとは考えられない。つまり、「シャリシャリ」という言葉から連想しているわけではない。)
〇まとめ
イメージは言葉から形作られていると思っていましたが、必ずしもそうとは限らないことがわかりました。確かに、「触感がグミに近いよね」は、はっきりとこういう食感だと言葉で表現していないですから、その通りだと思いました。