♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【免許更新】心理①心理学入門

◯そもそも心理学とは何か?

心理学の語源はギリシャ語です。「psyche(プシュケ)」「logos(ロゴス)」が合わさったもので、プシュケは魂、ロゴスは言葉、理。だから心の原理みたいな意味ですかね。

 

◯心理学の祖ヴント

ヴントの心理学は、3つの特徴があります。

①心理学を自然科学の一分野とした

②「意識」を研究の対象とした

③「内観(内省)」という方法で意識を実験的研究しようとした。

 

 

〇ヴント批判
●ワトソン「行動主義」
 ヴントの実験は客観的ではないということから、ワトソンが「行動主義」というものを提唱しました。ヴントとは異なり「意識」を研究対象としないことや、客観的な測定が可能な「行動」を研究対象としました。

●S-R結合
 S-R結合とは、刺激に対して反応する行動の法則のことです。有名な実験はパヴロフが研究した、イヌの条件発射の実験です。


〇記憶について
●記憶の基礎過程
 記憶を分解して考えると「記銘」(覚えること)「保持」(とどめておくこと)「想起」(思い出すこと)の3つが働きとしてあって、たまに「忘却」(忘れること)も起きます

エビングハウスの忘却(保持)曲線
 エビングハウスは、13項目の無意味なつづりを暗記させ、20分後、1時間後…1か月後の時点でどれだけ記憶が残っているかという実験を行いました。実験の結果をグラフにしたものをエビングハウスの忘却(保持)曲線と言い、記憶しても1日たたないうちに20%以下になることが明らかになりました。

●忘却の要因
 ・減衰説(記憶の痕跡が自然と消えていくこと)
 ・干渉説(記銘の前後の影響を受けること)
 ・抑圧による忘却(何らかの外圧によるということ。フロイトが唱えました。)

●系列位置効果
 暗記テストを行うと、最初の方の記憶と、最後の方の記憶が残っていることが多くあります。最初の方を「初頭性効果」最後の方を「新近性効果」と呼びます。「親近」ではありません。

●二重貯蔵モデル
 必修④のワーキングメモリで扱った内容に重複します。短期記憶では一時的にしか記憶されませんが、リハーサル(例えば、口に出して何度も繰り返す)を行うと、半永久的に記憶が保持される長期記憶へと転送されます。この短期記憶と長期記憶の両方で貯蔵するモデルを二重貯蔵モデルと言います。
 これを応用すると、一度覚えたことを定期的に思い出す勉強法を編み出せば、たくさんの長期記憶を生み出すことができます。言葉に意味を持たせたり、エピソードに絡めて覚えたりすると記憶に残りやすくなります。これを「宣言的記憶」と言います。また、楽器や自転車のように動作に関する記憶を「手続き的記憶」と言います。これらを応用して、いわゆる“記憶力”を伸ばしていければいいなと思いました。