1.年度初めの担任面談
担任として新しいクラスを受け持ったときに大切なことは、担任面談を通して自身のクラスの生徒のことを知ること、関係を築くことです。担任面談を通して初めて知ることや、場合によってはすぐにアクションを起こす必要性も出てきます。そこで今回は、面談の仕方や心がけるべきポイントについて話していきます。
2.二人っきりであって、二人っきりでない空間
教員として最初に教えてもらうことは、絶対に密室で二人っきりになってはならないということです。男女は当然ですが、同性同士でもそれは守らなければならないルールです。密室になれば、何か問題行動が起きても誰も助けられません。それは教員側の問題行動でも、生徒側の問題行動でも同じ事です。だから、教室で行う時も外から見える場所で、扉を少し開けてなどと言われます。でも、扉が開いていて外に人が待っていると話しづらいですよね。よって、小声で話すだとか、あえて騒がしい場所で面談して、お互いにしか伝わらないようにするなどの配慮が必要だと思います。
3.その場所に意図はあるか
私は面談場所にこだわりを持っています。私なりの意図を以下に説明します。
(1)職員室前廊下
人が最もよく通る場所です。私はたくさんの生徒と面談を行うため、どこでどれぐらいの時間面談を行っているか把握できるように、わざと騒がしい場所で多くの生徒を順番待ちさせて短時間話します。生徒は、なるほど1人あたりそれぐらいの時間なのね、と順番待ちしながら様子を見ています。さらに話す内容が明確な場合は、どうやって話そうかと待ちながら考えてくれるため、効率よく面談を行えます。
(2)教室
落ち着いて話したいときに廊下側の窓を閉めて話します。廊下から話している様子が見えるように座席を配置しますが、廊下の人と目が合うのが私になるよう、生徒は手前側に座らせ、背中だけが見えるようにします。
(3)生徒指導室・会議室など
人通りが少ない部屋では、生徒指導上問題が起きたときや事実確認したいときなど他の生徒があまり立ち寄らない場所を選んで面談を行います。よく○○先生はどこにいるか知りませんか?と聞かれるときは、大抵そういう場所で話を聞いていることが多いです。
(4)職員室
私は、よく職員室で話をします。職員室へ生徒を入れることで、進路の相談に載っていることや、生徒が悩みを抱えていることなどを他の先生に知ってもらうようアピールしています。特に担任の先生はそこで会話に入ってくることもあるし、実は私も○○について相談を受けていることがありますとか、授業中気になっていましたとか、さまざまな意見交換へと繋がっていきます。以上の理由から職員室での面談を時々行うようにしています。
(5)進路指導室
1.2年生ならば、進学意識を高めるため、3年生ならばそのまま学習へと繋げていくために呼びます。このほかにも、この部屋にはこの意味があるというものを持たせて場所にこだわる先生が多くいらっしゃいます。担任を持っている先生の中で、他の先生とは異なる場所で面談を行う人を見かけたら、ぜひ聞いてみるとよいかもしれませんね。
4.担任面談で確認しておきたいこと
担任面談では、先述の通り生徒との人間関係を築くことが最優先事項となります。全体に対して普段伝えていても本人には届かないような内容を、表情を見ながら伝えることで、この生徒がどのような話し方をすれば伝わるかを考えていくことが出来ます。また生徒にとっては、二人だと言えるようなことも沢山あると思うので、それをいかに引き出すかは担任の力量が問われるところだと思います。「何かある?」ではなく、「春休み中に頑張ったことはある?」とか、「親と家で話はするの?」など、本題に入る前にいろんな話ができるように工夫することが大切です。生徒の中には面と向かって話をするのが苦手だという人もいます。だから、全員にノートを配って、交換ノートのようにやりとりをするという方法もあります。いろんな手を使って生徒と関係を築けるように、担任を受け持ったらぜひ工夫を凝らしてもらいたいものです。
5.学年主任面談!?
最後に、私が今学年主任として心がけていることを話します。学年主任という立場は、私は「全クラスの担任」だと捉えています。だから、担任を飛び越えないように心がけつつ、担任という気持ちを常に持って生徒に接しています。生徒指導上の問題も、進路の悩みも、担任が背負いきれない問題も、全て私の元に来るようになってしまっているため、もっと担任の先生に頑張ってもらいたいと思う気持ちもないわけではありませんが、そうやって一人一人と顔を合わせてきちんとコミュニケーションを取ることは必要なことだと考えます。今目の前で接している生徒たちは、1対40や、1対300、1対1000で伝えた内容がストレートに伝わりません。「自分に言ってくれている」という感覚がないのだと思います。(この感覚をどうやって育てるかが今の私の課題です。)だから、ひたすら面談を通して、一人一人にしか訴えるしかないと考えています。このアクションを学級担任、教科担任、学年主任などさまざまな立場から行ってくれれば、学校は変わるのだろうと思っています。私はこのスタンスを大事にしつつ、教員生活を送って生きたと思います。