♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【緊急】ラーケーションはどのような運用が望ましいか

1.ラーケーションとは?
 県のページには以下のような説明があります。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/gimukyoiku/learcation.html
愛知県全体の「休み方改革」プロジェクトの中で生まれた「ラーケーションの日」は、子供が保護者等とともに、平日に、校外(家庭や地域)で、体験や探究の学び・活動を、自ら考え、企画し、実行することができる日です。

校外での自主学習活動であるため、子供は学校に登校しなくても欠席とはならず、「出席停止・忌引等」と同じ扱いとなります。
保護者等の休暇に合わせて届け出て、年に3日まで取ることができます。

この主旨に従い、県立高校ではどのような運用が為されたか。そしてそこで浮かび上がってきた問題点について分析したいと思います。※ちなみに、ラーケーションの語源は、Learning(ラーニング)とVacation(バケーション)で、造語です。


2.今年度は「2回」
 県からこのラーケーションが通知としてきたのが1学期でした。2学期から準備が整い次第、運用を開始するよう指示があったため、今年度は学期あたり1回取得する計算として、年2日まで取ることが可能でした。取得申請は学年で約100件あり、多い日では30名ほどが出席停止で不在という事態も起きました。


3.取得理由は?
 ラーケーションの申請用紙は、申請しやすくする目的から簡素なものでした。名前、取得日、保護者のサインのみであり、ここがトラブルの元凶となりました。まずは保護者のサインを生徒が勝手に書いて申請し、保護者が把握していないという事態が起きました。また、原則1週間前の申請としているところを、有給休暇のように扱い、駆け込みで消化する生徒も見られました。高校生ともなると、保護者同伴でなくとも、生徒同士で舞浜やユニバーサルシティへ電車で行くことは簡単ですから、保護者に一筆書かせて、遊びに行くという発想は容易に想像できます。
 ただし、真面目に取得する生徒もいました。県外の進学を考えている生徒が平日を使って保護者とともに見学へ行った。探究学習の一環として施設見学のために申請したなど、本来の目的を果たしていた生徒もいて、こういった制度も悪い部分だけではないのだと感じる場面もありました。


4.運用方法としてできることとできないこと
 先述の通り、ラーケーションの申請用紙はほとんど手を加えることができません。それは申請に高いハードルを設けてしまうと、取得しにくくなってしまうというデメリットがあるからです。だから、県立高校では当初、取得できない日を設けて学校行事に支障を来さないように工夫して運用しました。例えば入学式や卒業式などの式典や、定期考査や学校祭など全員出席を原則としているものは各学校とも取得できない日としています。
 しかし、生徒たちの間では悪用が増えてきてしまったため、多くの学校で、報告書を設けようという動きが出てきました。報告書の書式はまだ表には出てきていませんが、具体的に考えられるのが、学習計画とその実際を書くパターンや、その場へ行って学んだことを作文にまとめるパターンなど、自らの学びをアウトプットする形になるかと思われます。


5.ラーケーションを前向きに捉えるために必要なこと
 最後に、諸悪の根源と捉えられがちなラーケーションについて、教員も生徒も有意義に使える方法は何か模索し、今回の話を終わりとします。そもそもラーケーションとは、保護者同伴をルールとしているため、高校生にとっては本来の目的で取得しにくいのではないかと考えました。県外の大学・専門学校へ行く場合は、進路を考える上で親子の会話が必須となるため、ラーケーションの本来の目的に合致しますが、自らの学びのために保護者と予定を合わせるのは難しいように思います。だから、まずは「生徒の学び」のために、保護者が保護者会や電話連絡などで申請すれば、生徒のみで行けるようにすべきだと考えます。そして、そういったラーケーションを活かすために、総合的な探究の時間を中心に、外へ出て学ぶ仕組みが必要だと考えます。
 もちろん、保護者同伴のルールには、平日高校生だけで歩いていると学校をサボっているのではないかと疑われ、補導の対象となり得るからで、これは簡単に外すことはできないのかも知れません。でも、今の運用方法では保護者同伴も徹底できるはずもなく、目的無き申請を助長させるばかりなので、せめて「生徒の学び」をきちんと考えさせなければなりません。現場ではそういった新しい制度と教育活動をそれぞれで上手くやってくれと言われるだけなので、正直言って負担に感じているし、ラーケーションを破壊したいとも考えています。こういった所が上手くいくよう、皆で考えられればと思います。

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