♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

第4章 学級担任として習慣にすべきこと その2

2.課題はどう提出させるか

(1)そもそも課題は必要か
 この問題は教員としてということではなく、生徒として一度は考えたことがあるのではないでしょうか。やみくもに宿題を出され、課題が多すぎるという声が挙がることもあります。この課題とは、大きく分けて3種類が考えられます。
①学習習慣を定着させるためのもの
 多くの学校で週末課題が出されているのは、土日にきちんと学習する習慣を定着させるためです。他にも、定期考査ごとに提出範囲を設けたり、長期休暇ごとにテキストを出させたりと、ある程度の期間を設けて少しずつ取り組むことを想定して課題を出題しています。ただし、こちらの意図とは異なり、まとめて一気に終わらせる生徒も多くいて、ここに改善点が隠れていることも確かな点です。

②授業内容を充実させるためのもの
 いわゆる予習と呼ばれる課題です。日々の授業では、予習を前提にしなければ授業内容が薄くなってしまうという恐れがあります。そこで、家庭で予習をさせ、分からない点を授業内で確認させるという流れで知識・技能の定着を図り、思考力・判断力・表現力に活かしていきます。ただし、家庭学習ができない層の生徒たちにはこの課題を出しても難しいものがあるかと思います。

③模試・受験対策のもの
 これは復習的な側面をもちつつ、体系的に学ぶための課題です。例えば古典で言えば、授業で扱う作品の中で助動詞、副詞の呼応、敬語などを学びます。一方課題では、動詞の活用を学ぶためにこの作品。「ぬ」の識別のためにこの作品といったように、体系的に学びを進めるためのテキスト(副教材)を選び、導入します。


(2)課題は生徒のためか、先生のためか
 先述の通り、生徒のために課題を出すのですが、それは同時に先生の評価のためという側面もあります。評価の話は、本一冊分にもなるほどの深い内容なのであまり扱いませんが、簡単に紹介します。
①観点別評価
 現在高等学校では、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に取り組む態度の3観点で評価を付けることとなっています。これまでは定期考査偏重で評価が行われてきたことに警鐘を鳴らすための改革の一環です。だから、全ての技能を定期考査のみで評価するのは間違っているということですね。現に私の勤務する学校では、定期考査以外に知識・技能は漢字や古文単語の小テスト、思考・判断・表現はレポート課題、主体的に取り組む態度もレポート課題や日々の授業での見取ることのできるノートや発表などからつけています。

②授業内容以外の出題
 これは新学習指導要領実施前から行われているものですが、定期考査に副教材からの出題を取り入れるというものです。論理国語で言えば、毎回必ず漢字の副教材から○割を出題するなど暗黙の了解があります。これらの問題を取り入れることで、授業内容の定着という側面だけでなく、授業以外の教材を用いても知識・技能、思考力・判断力・表現力が発揮できるかを把握することができ、今後の授業に活かすことができます。
 教員として働いていると、この②の側面ばかりを考えてしまい、評価のためにどのようなことを取り組むべきかと思ってしまいます。私もこの文章を書きながら、やっぱりそう考えてしまっている面があったなと反省しています。今勤務校で決まっている課題がなく、これから考えなければならないのであれば、生徒の取り組んでいる態度や入試・模試のデータから適切な副教材を定めるべきであり、決まっている課題があればそれが適切な量なのか、難易度なのかを常に振り返り、同じ学年・教科の先生とコミュニケーションを図るべきだと思います。

 

(2)課題を出させるために私が行ったこと
 過去に私が居残り指導について書いた文です。その時の熱量を大切にしたいのでそのまま載せます。
 夏休み課題の提出期限を迎え、火曜日から居残り指導をスタートさせました。居残り指導に対する考え方はさまざまですが、私がこの学年の主任として大切にしたいことは、①課題が終われば良いと思わせず、提出が遅れた生徒一人一人と話をすること。②課題が取り組めない生徒と一緒に、どのように頑張ったら課題が終えられるかを考え、何度も話をすること。
 つまり、一方的に叱りつけるのではなく、伴走者として一緒に課題に取り組む姿勢を表し、生徒が課題と向き合う心を持つよう粘り強く指導していくことを目的としています。まさにこれは、「主体的に取り組む態度」の①粘り強い取組を行おうとする側面と②自らの学習を調整しようとする側面を高めていくための取り組みと言えます。正直言って、私の勉強にもなりますけどね。
 今回の居残り指導対象者は62名いました。昨年度1年生の対象者が100名を越えていたことを考えると、数は減っていますが、春休み課題8名、GW課題54名に比べると、数が増えていると言わざるを得ません。(春休み・GW・夏休みの重複は3名、どちらかの重複は27名でした。)
 GW課題の時には、課題が終わっている生徒と、課題が残っている生徒がいたため、終わっている生徒から順に面談を行いました。また、その時に1~2分で書ける反省用紙を配り、その紙を見ながら面談を行いました。全員との面談は15:45~16:30で、ひたすら話を続けました。そのおかげか、前回との重複生徒はほとんどいないという印象を受けました。あれだけ待たされたと思ったのでしょうか。
 今回は幸いなことに、25名の生徒がコロナ関連などの理由で欠席していたため、実質居残り指導対象者ではありませんでした。そこで、以下のルールで指導を行うこととしました。
①居残り指導対象者全員へ呼び出し状を渡す。(62名)
②対象者のうち、先生のチェックミスや前日欠席などやむを得ない事情がある場合は昼に来ること。(25名)
③対象者のうち、②に該当しないものは、全体指導を受けた上、課題に取り組むとともに、作文を書いて、私と面談すること。
 課題が終わっている生徒は、夏休みの過ごし方の反省と、今後の目標を書いた作文を提出し、私と面談を行う。(8名)
 課題が終わっていない生徒は、まず課題を終え、作文を書いて、私と面談を行う。課題は終わるまで毎日居残りをする。
 中には、居残り指導を嫌がって、学校へ来ない生徒もいます。そんな生徒にも同じように指導を行うわけにはいきません。そこで、担任の先生にお願いし、保護者と連絡を取り合い、まずは学校へ来てもらうよう話をしてもらいました。場合によっては、私が直接保護者と話をし、学校へ来てもらうよう話をしました。こちらの本気度を示すため、学校へ来られない場合は家庭訪問をしたり、電話やMicrosoft Teamsのチャットでのメッセージのやりとりをしたりして、何とか本人とコンタクトを取りたいという話をしました。そこまで話をするとだいたいの保護者は、本人と向き合ってくださり、近日中に本人が登校できるようになります。逆に言うと、それすらもできないご家庭とは転学の話も必要なのかなと思いました。
 久々に登校した生徒とは、昼(場合によっては業後)に面談を行います。基本的に私の思いを伝えるというよりも、久々に学校へ来てどうか、今課題はどうなっているか、今後どうしたいかを聞いて、本人の考えを確認します。決してこちらの思いを押しつけることなく、あくまで本人の考えを聞いた上で、どうしていったら上手くいくようになるかを一緒に考えていきます。
 先日話をした生徒は、居残りをしたくない思いが強く、「親の迎えが来ているので帰ります」と申し出がありました。そこで、私は「そのような事情は聞いていない。そうやって私との約束を破ろうとするのはどうか。人の時間を奪って、自分勝手な行動をしてしまうのは優しくない行動だ」という趣旨の話をしました。結果的に居残りをすることになりましたが、こういった生徒はたくさんいますので、その都度向き合って、粘り強く話をしていくことで、本人の逃げようとする姿を何とか変えようと努力しています。
 現時点であと9名が課題を終えられていません。来週水曜日からは学校祭が始まるため、学校祭後に居残り指導をするのは私も生徒も何としても避けたいという気持ちで頑張っています。しかし、学校を休む生徒も多くいて、順調にはいかないというのが現状です。大事なのは、うやむやにせず、やれる範囲で取り組むという姿勢と、本人との対話です。結果的に課題が終えられなかったとしても、課題と向き合い、学年主任とたくさん話をしたという経験は、必ず今後に生きてきます。そういった生徒の成長を信じて、今後もこの活動を続けていきたいと思います。



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