♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【学校経営】不登校生徒の保護者対応の現状

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▼ 中高接続の在り方
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 現在中学校では、保護者や地域との連携を密にし、三位一体となって生徒たちの教育活動に取り組んでいこうという指針が示されています。とても良い事なのですが、ことに高校ともなれば、さまざまな地域から登校してくるようになり、中学校とは異なる形での連携が必要になってきます。高校生ともなれば、大人になる最終段階ですから、自覚ある行動が求められる一方、なかなか中学校時代に心の成長が十分でない生徒も多くおり、そのしわ寄せがそのまま学校や家庭に降り注ぎます。
 今回はこの点を踏まえて、不登校について、家庭と学校の連携の在り方に注目して考えていきたいと思います。


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▼ 4月の保護者
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 早い生徒は4月の入学式直後から、不登校になる生徒が出てきます。そんな中で最も大切だと感じたのは、ご家庭がその状況を抱え込んでしまって、学校との上手く連携が図れないということです。特に親御さんが悩んだ時に、担任の先生が「悩みがあるならカウンセリングへ行ってください」という助言をしがちですが、実は得策ではありません。親御さんが求めているのは、高校はどこまで私たち家庭と向き合ってくれるのかということなのです。実際に、一度来校いただいて、お話しを聞かせていただけますか?と提案し、学年主任と担任とで本人や保護者と会話をする中で、さまざまな誤解が生じていたり、些細なことが登校のきっかけになることを発見したりするのです。
 そして最も大切なのは、そういった「話を聞いてくれた」という安心感を持ってもらえるという点です。中学校と異なり、家からも遠く、なかなか遠い存在に感じているからこそ、私と一緒にお子さんのことを考えませんか?という提案は、高校に対する信頼感にもつながります。7月の保護者会を待って、ということよりも早くから保護者と直接顔を合わせて会話をすることが、電話よりも効果的なのです。


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▼ 電話対応では不十分
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 そういった用件ならば、電話対応で十分ではないかと思われる方も多くいます。でも、電話だけではこちらの意図が声でしか伝わらず、たまたまその時に、ちょっとした言葉のニュアンスが悪く伝わってしまうことがあります。よく言われるのは、立ちながら電話をすると急かしているように感じさせるため、座って電話しなさいということですが、こういった電話でのやり取りは丁寧に見えて、実は落とし穴があることを覚えて置かなければならないなと感じています。


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▼ 定期考査前に
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 高校の先生の感覚としてあるのが、定期考査前に不登校の生徒と話をしておきたいというものです。これは明確に、現状を知っておきたいということと、定期考査をきっかけに生徒が復帰できるよう手助けをしたいという気持ちの表れです。実際に定期考査をきっかけに、学校へ来られるようになった生徒はこれまで何人もいます。反対に、定期考査を受けるつもりはなく、早々と転学や退学をしたいという希望を出すご家庭もあるため、そういった時には、欠席数に応じて学校へ留まることのメリットを伝えたり、逆に他の道へ進むとしたらこのような手順を踏むことになるという事実を伝えたりします。
 本当は続けてほしいのですが、そこは高校という場所ですから、むやみやたらに引き留めるようなことはできないのが現状です。悲しい。


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▼ 長期休み明けに増加
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 GWや夏休みなど、長期休みの後には、学校へ登校する習慣が失われているため、不登校が増加傾向にあります。そこで初めは電話連絡からスタートし、休みが続くようならば来校いただいて対応というのが多いように思います。最近は減りましたが、場合によっては家庭訪問をして、本人と話す機会を設けるのも手です。ただし、ご家庭に上がり込んで話をすることはお互いに大変な負担になるし、玄関先で話をするにも時間的体力的にも限界があります。そして、我々がお客様になってしまうため、保護者の感覚が、学校での面談に比べて落ち着かないというのもあるように思います。(具体的な根拠はありませんが、感覚的にそう思えるのです。)
 だから、負担ではありますが、来校いただいて、話をするのが一番良いのかなと感じています。


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▼ 面談を通して
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 今回は限定した形で保護者対応について書いてきました。さらに高校では生徒指導の観点や、成績不振者指導の観点などさまざまな場面で保護者と連携を図る必要がありますので、これらの点については折を見て書きたいと思います。どの場合に関しても、最も大切なことは、面談の機会を設けることで、親御さんも担任も(もちろん学年主任も)生徒のことを真剣に考える時間が増やせることにあると思います。だいたい、大人たちの関心不足(だと生徒自身が感じていること)が原因となって問題が起きます。いくらこちらが手をかけても、それが届かないこともあり、なかなか問題は堪えませんが、少しでも本人の気持ちに寄り添えるよう、丁寧に時間をかけて話を聞き、対応していきたいなと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。


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