♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

第3章 年度初めの準備 その2

3.小中学校定番の「黄金の3日間」
 小中学校では当たり前に言われているのが「黄金の3日間」です。端的に言うと、最初の三日間できちんとこちら側の意図することを伝えきることができれば、1年間しっかりとした指導を行えるということです。

(1)TOSSランド 小学校教員の場合
 小学校では、以下のように紹介されています。

黄金の三日間 | TOSSランド

第1日目 4月9日(月)始業式   
始業式 8:40~9:30
① 担任紹介で、校長先生に名前を呼ばれたら「はい」と返事する。
② 子どもとの出会いの日、きちんとした服装で臨む。

学級指導 9:40~11:05
① 座席を決める。(名前の順・机の大きさ、視力を配慮)
② 出席を取る。(名前を呼ばれたら、「はい。」と返事し、「勇先生。」と
  呼ばせる。
③ 担任の想いを語る。(たくさんまちがってかしこくなろう。)
           (いじめはゆるさない。)
④ 自己紹介(指名なし発表)をする。
⑤ 新しい教科書を配り、名前を書かせる。きちんと書けたか確かめる。                
⑥ できるだけ誉め言葉を多くする。


第2日目 4月10日(火)
学級会 2時間目,4時間目
学級の組織を作る。

教師がいなくても自分達だけでできることをイメージして)
 ① 給食当番 ② 掃除当番 ③ 1人1当番 ④ふでばこ,おどうぐ箱点検
算数 3時間目  授業の決まり・かけざん第1時
①算数のノートの使い方を教える。(日付け,ページ数を書く)2行あけ
 て次を書く。さしを使う。(さし使い名人になろう)
②授業の始まりは遅れた子を待たない。
③書けた子は,「書けました。」という。
④ノートを3回点検した。個別に誉める。
⑤席を立つときは、いすをしまわせる。


第3日目 4月11日(水)  5時間授業
体育 1時間目   背の順決めと,基本の運動
道徳 2時間目   クラス全員の名前を覚えよう~サイン集め
算数 3時間目   2年生復習テストとかけざん第2時
国語 4時間目   漢字スキルの使い方・音読方法
学級会 5時間目 みんなで遊ぶ日について話し合う。


(2)中学校の場合
 私は中学校の勤務経験もあるので、少しだけ紹介します。小学校と大きく異なるのは教科担任制であることです。だから、どんな先生に対しても同じように接することができるよう、この3日間で伝えていきます。また、クラスカラーをきちんと打ち出すため、どんなクラスにしたいか、どんなリーダーが必要か、掲示物を見やすいものにするためにはどうしたらよいかを徹底的に考えさせ、実際に掲示物作成を行わせます。年度初めは学級活動の時間が多く、掲示物がオリジナリティあふれるものばかりになっていきます。

(3)高校1年生の場合
 本題です。高等学校では学年によって動きが大きく異なります。
 1年生は、入学式から始まり、さまざまな書類を集めたり、オリエンテーションテストが行われたり、検診が行われたりなどバタバタしてしまいます。そんな中で黄金の3日間はあるのか、と聞かれればもちろんあります。私は以下のことに注意してクラス開きを行っていました。
① 先が見通せるように黒板へ1日の流れや回収物を書いておく
② 机やイスだけでなく、全ての道具が新品(に近いように印象づける)だと思えるよう徹底的に掃除する
③ クラスメイト全員の名前が覚えられるように、工夫を凝らす
④ 保護者に自身の考えを伝えるために、学級通信を作成し、配付する
⑤ 背面黒板には委員会や係の名前が書けるよう、あらかじめ書いておく
⑥ 掲示物を貼っておき、STで紹介しながら情報をきちんと伝えていく
⑦ コミュニケーションの取り方を明確にしておく
⑧ 問題行動(問題に繋がる小さな行動)はきちんと指摘し、直していく

①②は年度初めの準備にも書いたとおり、教室整備の仕上げとして実施していました。
③は、学級通信に載せる先生もいました。私はそれはしませんでしたが、最初のHRの時間に、アイスブレイクレクリエーションを行うことで、名前が覚えられるように工夫していくことを事前に伝えておけば、問題は無いと思います。
④は、学年で共有していました。何を伝えるべきかはベテランの先生がノウハウを持っているため、自分で作ろうとせず、何か作りましたか?と聞いて、データをもらって参考に作ると良いと思います。
⑤は、年度初めの忙しい時期に時間を上手く使うためのものです。高校生になって係や委員会というものはどういうシステムなのかを伝えられていない中で、最初から書いておくのはどうか、という声もありますが、ここに触れずに生徒を泳がせてみてどう行動するか観察するのも一つかなと思い、オススメしました。こうやって行うと、だいたい室長(級長)が空欄になります。
⑥は、3日間で触れられるのが理想です。普段は教卓前で話すのが普通ですが、教室の後ろに移動したり、あちらこちらと異動しながら紹介したりすると、生徒たちの目線がきちんとこちらに向いているかを確認できます。いや、向いているか確認してから話を始めることで、こちらに目を向けて話を聞く習慣が付けられます。
⑦は、私はノートを用意していました。中学校勤務時代に”生活のあゆみ”という連絡帳を使っていたことと、文章を書く習慣をつけさせたいという想いから準備しました。実際にこのノートにメッセージを書いて交換ノートのようにしていたし、直接話ができなくとも、不安な気持ちをきちんと拾い上げることができました。さすがにノートは無理だという人も、年度初めには担任面談が必須ですから、面談日程を出してここまでに話す内容を考えておいてね、と指示を出しておくことも大事かなと思います。
最後の⑧は、いろいろなものがあります。細かなことで言えば、ゴミの分別や、身だしなみ、テスト時のルールなどです。私はもっと細かいので、ST時は机の上はなしにする。イスはきちんと閉まってから帰る。消しゴムのかすはその辺に捨てず、ゴミ箱へ捨てるなどの習慣を訴えていました。できているかどうかは別にして。

(4)高校2年生の場合
 2年生では1年の流れが分かっているので、同じようなことを行ってももっとスムーズに行動できます。だから2年生に対しては、課題テストに向けての学習習慣や、体育祭・文化祭・修学旅行に向けて、どんなクラスにしたいかを話し合わせたり、こちらで具体的に目標を伝えたりして学級を形作っていくのが良いと思います。2年生は中だるみの年となりがちですから、1年生で定着しているから大丈夫だろうと高をくくるのではなく、1からきちんと決めておくことが大切です。周りの先生は、まあ2年生だからよいだろうという声が多いかと思います。ベテランならば問題ないと思いますが、若手はそうはいきません。きちんと準備しましょう。

(5)高校3年生の場合
 最後に3年生では、受験が主になるため、スタートから進路先の把握、決定を第1として動かしていくのが良いかと思います。それでも高校生活最後の年であることから、学校の行事も頑張りたいという人もいます。そこで1年間こうやっていこうというざっくりとした1年間の流れを出しておくことが大切だと思います。特に、受験の悩みを自分ではなく、ベテランの先生に言ってしまうことが多くあります。これは仕方の無いことですから、「進路を変更したいと思ったときにはまずは私に相談してから他の先生の所に行って欲しい」「受験に必要な書類は担任が作ることが多いから早めに私に伝えて」など、進路に関するルールはきちんと口頭で伝え、学級通信等で文章に残しておくと良いと思います。



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