♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【学級経営】リスクを避ける学級経営~歴代勤務校から学んだこと~

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▼ 研究発表の依頼
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 先日、校長室から呼び出しがありました。(今年になってから何度目か分かりません。)その理由は不祥事ではなく、仕事の依頼です。今回は所属する研究会で発表(講演)をして欲しいとのことでしたので快諾いたしました。これで今年の講演依頼は3件目です。本当は来月、別の研究会で講演予定でしたが、緊急事態宣言を受けて2月に延期となってしまいました。そこで今回受けた講演についてまとめ直そうと思い立ちました。
 依頼主から与えられたテーマは「学級経営」で、私に声をかけた理由がこのブログでも毎日のように更新している「黒板エッセイ」でもあります。その「黒板エッセイ」誕生から、学級経営について書いていきたいと思います。


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▼ 自己紹介
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 私は毎日黒板にメッセージを書き、1限が始まる前に消させています。初めは書くだけでしたが、あることがきっかけで黒板を磨くようになり、教室を掃除するようになり、いつの間にかそれがルーティーン化しました。今日は私の普段の活動がどのようなものか、ということよりも、なぜその活動をするようになったのかという部分を中心に話をし、それぞれの現場で生かしてもらえたらと思います。
 ちなみに一応、自己紹介をしておくと、教員10年目で、担任歴は8年目です。H24.25は副担任でしたが、そこから高校1・2・3年生、中学3・1・2年生、そして今の学校へ来て3・1年生と担任を務めました。そうです。中高人事交流で中学校での担任経験もあります。そういった話も織り交ぜながらお話ししたいと思います。

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割れ窓理論
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www.pref.kyoto.jp

 割れ窓理論とは、1枚の窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ町全体が荒廃してしまうという理論です。この理論は初任校で初めてお世話になった校長先生から教わったものです。1年目当時は清掃担当箇所が、特別教室3つ分(総合学科だったので、特別教室の数がとても多いため)でした。しかもその学校は帰りのST後に清掃の時間が取られていたので、やらずに逃げて帰る生徒が続出しました。(ここも頑張ったのですが。)でも校長先生は、「生徒にやらせられないのなら、先生がやるしかない」とおっしゃっていたので、いろんな思いを抱きながら、授業後や土日などの時間を見つけては、たった一人で掃除していました。
 担任になってからも掃除だけはどのクラスよりもきちんと行おうと思い、毎朝教室の清掃を行うようになりました。すると、教室がキレイになるのはもちろんのこと、自分の心の状態も落ち着き、頭がクリアになっていったのです。今も毎日清掃を行うのは、生徒のためというよりは自分のためなのかもしれません。


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▼ キレイにしたつもり
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 ひょんなことから、自らの意思に反して、中学校への異動が決まりました。同じように毎日清掃を続け、最初の年はとても良いクラスができあがりました。どのような言葉を伝えても真剣に話を聞いてくれて、環境を整えさえすれば、こんなにも生徒がよくなるのだと思い込んでいました。
 しかし中学1年生の時、学級が荒れました。原因は、「つもり」でした。キレイにしたつもり、指導したつもり、話を聞いたつもり・・・。そのことに気づいた私は、翌朝から毎日黒板を磨き、机を整頓し、机の上の落書きをチェックしました。
 余談ですが、この中にも机やイスの整頓をされている先生は多く居ると思いますが、私は床に目印をつけることはしません。それは「目印に揃えよう」という意識ではなく、「前や横を見てまっすぐ揃えよう」という意識を持たせるためです。そのためには、まず教室に入ったときに揃っていることを感じる必要があったのです。
 学級が荒れるリスクを避ける1つめの工夫は「教室をキレイにし、揃っていることが当たり前にする」です。


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▼ 黒板エッセイの誕生
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 こういう流れだと、黒板エッセイは荒れたから誕生したように見えるかもしれませんが、実はそうではありません。中学校3年生の担任の時、中学校の先生方が、体育祭へ向けて、授業の始めの時間を使って今のクラスの雰囲気を話し合っただとか、雑談の中に中学校最後の文化祭をどうしたいかのメッセージを織り交ぜながら話しただとか職員室で話していたのです。高校受験に向けて11月頃からはきちんと教科指導をしようとしていた私にとって、ある意味衝撃的な感覚でした。でも高校の先生だったので、良い意味で違うアプローチをしようと考え、たまに黒板にメッセージを書くようになりました。
 メッセージを書いた反響は小さくなく、他クラスからも今日はメッセージが書かれていないか確認する生徒もいて、これは毎日書かなければならないのかなと薄々感じていました。
 ある日のこと、とあるクラスのホワイトボードを見たら、生徒から生徒へのメッセージが書かれていました。「今日も1日頑張ろう」みたいなものでしたが、No.が160ぐらいだったのでとても衝撃を受けました。これまでそのクラスの担任の先生は、毎日生徒にメッセージを書かせていたのだと気づきました。同時に4月から自分も毎日メッセージを発信し続けていれば、何か得られるものがあるのでは、と思い、黒板エッセイを毎日書くようにしました。中学1年生の時には201個、2年生は184個、高校へ戻り3年生は169個、そして今年が100に迫っています(この講演は夏休みの予定ですので今は24です)


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▼ 消された黒板エッセイ
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 中学1年生の時の話に戻ります。学級が荒れていると感じながらも毎日頑張ってメッセージを書いていましたが、ある日こんなことを言ってきた生徒がいました。「先生、今日のメッセージは無しですか?」ぱっと黒板を見たところ、自分が書いたものが全て消されていたのです。これを見たとき、とても悲しい気持ちになりました。自分が書いたメッセージは届けようとすることすら否定されるのだと。しかし、こうやって毎日書いていたからこそ、「受け取りたくない」という生徒のメッセージを受け取ることに成功したのだと前向きに捉え、粘り強く書き続けました。
 ちなみにこの生徒からは今年の3月にお手紙をもらいました。やっと私のメッセージを受け取ってもらえたようです。
 学級が荒れるリスクを避ける2つめの工夫は「こちらからのメッセージを毎日発信し、反応を確認する」です。


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▼ 提出物は個人の問題ではない!
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 最後に具体的な実践例を紹介したいと思います。提出状況の悪さを基にこんなタイトルで、黒板エッセイを書きました。提出物は一般的に個人の問題で、他人には関係のないことだとされています。この考えに異論はありませんが、そこに一石を投じようと思い、書きました。そして、全員が提出できるようにルールづくりをするよう提案しました。すると、生徒の多くは、「出せなかった人は居残り」「連帯責任で全員が3回取り組む」など本質的でない答えばかり出てきました。ただ、本質的なものもありました。「提出できている人にそのコツを聞く」「提出し忘れがないよう、前日にLINEで確認し合う」など、みんなで助け合うことの大切さに気づいている生徒もいました。そこで話した内容が2つです。
①連帯責任
 一般的に「連帯責任」は、ペナルティを負うように言われていますが、それだけではありません。江戸時代の五人組という制度では、みんなで年貢が納められるように協力して取り組むことが求められていたので、誰かが病気で倒れればそれをみんなでカバーしていました。私はこの話を聞いたときに、連帯責任とは助け合いの部分もあるのではと考えたのです。
②リーダーシップ
 前に出てきてみんなの意見をまとめる役割のことをリーダーと言いますが、このクラスのために自分にできることはないかと考えることをリーダーシップと言います。話し合いの時に一人一つずつ意見を持ってきたのはそれぞれのリーダーシップがあったからこそ。目立たなくとも一人一人ができることを考えて行動することが大切だと思います。
 GW課題は全員提出できましたが、週末課題はまだです。これから時間をかけて提出できるよう働きかけていきたいと思います。
 学級が荒れるリスクを避ける3つめの工夫は「一人一人の意見を出させて一覧にし、それを基にクラスで問題を解決する」です。

まだ時間が余りそうなら、毎日書かせているノートについても話そうと思います。もしチャンスがあればどこかで。



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