♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

第3章 年度初めの準備 その1

1.入学式、始業式に向けて
 今回は、担当クラスが決まったあとの準備についてお話をしていきます。前述のように、高等学校へ配属された最初の年は副担任になることが多くあります。(小中学校に比べて教員数が多いことや、各学校での準備の進め方が多岐にわたるためだと思われます。)そこで、副担任としての立場から年度初めの準備として取り組むべき事を挙げていきます。当然担任となることも考えられますし、いずれ担任を受け持つことになると思いますので、担任の立場でも話をしていきます。


(1)教室の環境整備
 あまりにも早く、長く準備をしてしまうと、特に2・3年生では気づかれてしまうため、なるべく人目を避けて行う傾向にあります。職員室の座席を見ると、来年度の学年団が何となく分かってしまいますが、そのあたりは勘の良い生徒に黙っておいてもらい、こそこそと準備していくことを原則とします。教室では丁寧な清掃からスタートさせます。ここは担任の先生が自分のペースで取り組み始めてしまうため、副担任であるあなたは、先手を打って、いつ準備を始めるかを聞くと良いと思います。
 私の場合、初めてのクラスの担任の先生が優秀な方であったため、私に一緒に準備してくれないかと声をかけ、教えながら環境整備を行うことができました。担任にとっては人手が増えること、自分にとっては勉強になることを考えると、互いにメリットがあるように感じます。自分が信頼されるようになってくると、副担任には超若手か、超ベテラン、介護や子育てで時間短縮(時短)勤務の先生が着くようになるため、仕事を振ったり振らなかったりと、その役割分担も考える必要が出てきます。


(2)教室に必要なもの
 教室に必要なものとは何か、あなたははっきりと言えるでしょうか。一番は、黒板周りだと考えます。具体的に言えば、チョーク(白・黄・橙は必須。ほかに数種も。)をいくつか準備しておき、粉受けではなく、チョーク入れに閉まっておきます。私の勤務校では二つ入れる所があって、一つは粉受けのものを集めて穴に入れ、ゴミ箱へ捨てる所と、もう一つがチョークを閉まっておく所です。黒板の管理については後述します。
 チョークに関連して、黒板消しと黒板消しクリーナーも手入れが必要です。ボロボロになったものがあれば、事務室で新しいものをもらってきて交換すると良いでしょう。クリーナーは、袋とスポンジがきちんとセットになっていて、粉詰まりがなければ問題なく機能を果たしてくれますが、そうでなければきちんと掃除をしておく必要があります。
 あとは、床と机・イスの掃除です。床で最も汚れるのが四隅で、その次が教壇前です。前年の担任がきちんと清掃して受け渡してくれればほとんど手入れは必要ありませんが、そうでなければかなりの時間を取られます。清掃関係で行けば、雑巾や箒などの清掃道具がきちんと整っているかも確認する必要があります。多くの学校は、4月に生徒にもってこさせて活用することもあるため、どこに何があるのかを清掃器具庫も含めて確認しておくと良いでしょう。そして机とイスは清掃前にガタつきを確認してください。特に県立学校は老朽化が進んでおり、消えない落書きやガタガタの机やイスがそのままになっていることが多くあります。どの教室の机・イスと交換するか確認しておき、早めに準備しておきましょう。(遅れると忙しくてできなくなるし、先に良いものが取られてしまいます。)


(3)昇降口、ロッカーの整備
 どのクラスもそうですが、生徒に掃除をさせて受け渡しているはずですが、年度末・年度初めには生徒は立ち入りませんから自然と汚くなってしまいます。だから、先生たちで昇降口一人一人の靴箱をキレイにし、番号が剥がれていれば貼り直します。ロッカーも同様です。優秀な副担任の先生は、何人か副担任の先生を引き連れて学年全体のロッカーと靴箱をキレイにしておいてくれることもあります。年度初めにこういった動きができると、学年全体の一体感も生まれ、非常に良いスタートが切れます。1年目の先生には難しいことですが、できると良いですね。



2.授業クラスの名簿作成
 この部分は、学校によって進め方が異なりますので各学校の実状を確認してください。私の歴任校では、教務部から名簿が完成したという連絡が入ってから、指定ファイルを使って名簿を作成していきました。学級名簿や授業クラスの名簿、座席表、課題チェック表などなど、名簿に関連したさまざまなものを作成していきます。ここで注意すべきポイントをいくつか挙げておきます。

(1)周りの先生に聞く
 まずは周りの先生に、何を準備しているのか聞くと良いと思います。そこで、欲しい名簿をその先生が持っていたらデータをもらったりコピーさせてもらったりできます。最初から準備していて、途中で声をかけられ、その先生が欲しい物を全部持っていたというケースは珍しくありません。まずは隣の先生に話しかけ、そのあとに同じ学年・同じ教科の先生に話を聞くのが最も安心で、効率的な進め方だと思います。皆さん優しいので心配はいりません。

(2)早すぎる作成に注意
 基本的には早め早めに準備が必要ですが、早すぎるのも注意が必要です。この早すぎるというのは、最初に仕事をするな、という意味です。それは、ミスが見つかったときに、自分の仕事が全て無駄になるからです。優秀な先生は、わざと最初に仕事をすることで、ミスがないかを探しながら作業を進めてくれます。そこで、漢字のミスがあったり、性別のミスがあったり、名前の読み方にミスがあったりとさまざまなミスが発見され、そこで名簿が確定するのです。初任者はもちろんですが、若手の先生たちも名簿に関わる作業は一旦置いておいて、周りの先生たちが動き始める頃に作り始めるのが良いと思います。

(3)できれば1年分作ってしまう
 名簿関係のものは、基本的に変わることがありません。途中で転退学者は出ますが、名簿のその生徒に斜線を引くぐらいで、大きく変わることはありません。だから、できることならば1年分名簿を準備しておくと良いと思います。例えば、私は4月3日に、論理国語4クラス、古典探究2クラスを1~3学期分作成しました。成績や出欠を記入するための帳簿、俗に言う閻魔帳です。これをやっておくと、1年間楽ができます。そうはいってもどれぐらい必要か分からないという人は多めに作っておき、夏休みに足りないと思った分を追加で作るのが良いと思います。

(4)取扱注意
 最後に名簿で最も気をつけなければならないのが、情報漏洩です。新クラスの情報はクラス発表まで絶対に流出させてはなりません。だから、教室の掲示物として貼ったり、学級通信に印刷しておいたりなど、名簿関係のものは、保管場所を限定しておくと良いと思います。


 今回の章で、掲示物に触れなかったのは、情報漏洩のリスクがあるからです。さまざまな進め方がありますから、早めに掲示物を貼るのは悪いことではありませんが、思わぬ所から情報が漏れて対応に苦労することがあるため、私は始業式を迎えてから貼るようにしていました。最低限全クラスが貼る物は掲示して良いと思いますが、それ以外は急いで貼る必要はありません。十分に気をつけて準備をしておきましょう。


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