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▼ 終わらない仕事
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金曜日の夕方の会話でよく聞かれるのが「土日はどんな予定ですか?」というものです。「昼まで寝ます」とか、「○○へ出かけます」とか、自分のやりたいことを言うべきなのだと思うのですが、実際に自分や周りが言っているのは「部活動です」や、「課題チェックをやります」というものです。時間が上手く使えれば、そういったことはないのでしょうが、現にそういった先生方がいます。そこで、まずはブラックな職場だと言われるポイントを整理して、そのような人たちは本当にそう感じているのかという点について考えてみようと思います。
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▼ とにかくやることが多い
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先生としての仕事は、やることが多いと言われますが、それは立場や役割によって異なります。まずは、担任か副担任かという点。そして校務分掌(生徒指導部とか、進路指導部とか)によって、負担感が大きく変わります。また、部活動の顧問も関わってきます。まとめると、一番忙しいのは担任で、校務分掌が比較的大変な内容で、部活動の主顧問だということになります。
しかし一方で、これらと同じ条件に立っていても、帰宅が早い人もいれば、遅い人もいます。どうやら、この点をもう少し深掘りする必要があるようです。部活動は以前もお話ししたので、今回は前の2つに重きを置いて、順に見ていきます。
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▼ 高校の担任業務
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担任としての仕事はさまざまあります。1日の流れに沿って説明すると、朝連絡事項を伝え、出欠確認をすること、そして欠席者からの連絡が来ていない場合は、どのような理由で登校していないかを明らかにします。要するに欠席者や遅刻者の多いクラスは、そこで必然的に仕事が増えます。
その後、高校では必要に応じて適宜面談を行います。1年生は類型選択や進路に向けて、2年生は科目選択や進路に向けて、3年生は受験に向けての面談ですが、回数も時間も決まっておらず、報告義務もないため、ここで効率よくやる先生と、じっくり生徒と話したい先生とでこの仕事量に違いが出てきます。
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▼ 高校の担任業務
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中学校では、面談期間が決まっているため、先生独自で面談を行おうとしない限り、全員との面談を負担感なく進めることができます。むしろ効率よくできれば、時間のゆとりが出てくるほどです。(効率よくという言葉は、「早く終わらせよう」ではなく「生徒と話すポイントはここだと予め決めてから話そう」と考えているという意味で、サボろうとしているわけではありません。)
その代わり、学校によっては連絡帳(生活のあゆみ)を全員に書かせ、担任がコメント書きを行います。これはかなりの負担感なのかもしれません。そして給食指導、清掃指導です。全員に手を洗わせ、着席させる間に、当番に運搬、配膳をさせます。ここで一人一人に声をかけるか、全体に指示を出すか、じっと見守るかで、先生が働いている(ように見える)かどうかが決まります。どの先生もしっかりと仕事されているのですが、生徒にとってはそう見えないようなので。そして掃除がしっかりとできているかを見ながら、時には助言や承認を行います。
中高ともに、終礼時に連絡事項を伝えたら1日の業務は終了です。空き時間に課題の提出の有無を確認したり、家庭と連絡を取ったりする場合もありますが、先生に何も言われなくともできるクラスは、先生の負担がほとんどありません。
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▼ 校務分掌
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よくいろんな人から、生徒指導部は大変だとか、保健部は楽だとか言う話を聞きますが、必ずしもそうではありません。そもそも校務分掌はいくつかあって、学校によって形が異なります。私の歴代勤務校を例に話すと、以下の通りです。
総務部(式典や、PTA活動、学校見学会などの外部とのやりとりを中心に行う)
教務部(定期考査や成績に関わること、授業に関する取り決めを行い、必要に応じて指導する)
生徒指導部(身だしなみ指導や啓発活動を通して、高校生らしい学校生活が送れるよう指導する)
特別活動部(生徒会活動や部活動に関して企画・運営を行い、主体的に生徒が動けるよう支援する)
進路指導部(模試や補習など進路指導に関して企画・運営を行う)
図書部(図書館利用の充実のために、さまざまな取り組みについて企画・運営を行う)
保健部(清潔な環境を維持するための活動を行う)
他にも生徒や保護者の相談、奨学金の手続きや斡旋、教育実習生の指導、専門科や総合学科で独自に設置された分掌などがあります。
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▼ 偏りはあるか
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こういったものを見ると、生徒を指導する分掌とそうでない分掌があるため、仕事内容に偏りがあって、負担感も違うように感じ、実際そうである場合もあります。だからと言って、この分掌がずっと大変だとか、ずっと楽だとかいうことはありません。
たとえば、特別活動部に配属されれば、体育祭・文化祭に向けての準備が本格化すると、通常業務が回らなくなってきます。他にも、このコロナ禍では、保健部の皆さんに大変サポートしていただき、感染症対策がきっちりとれています。
さらに言うと、分掌主任になると、さらに負担が増えます。外部への報告文書があったり、学校運営の会議に出たりと、これはこれで他の先生方と比べて働かなければならないのです。
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▼ 負担感はどうか
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最後に負担感について考えます。働きたくない人にとって、担任業務は負担でしかありません。しかも自分の学級の生徒が提出物を上手く出せなかったり、思うように進路決定ができない場合は、さらに負担が重なるため、負担感が増すのだろうと思います。しかしながら、仕事量が単に多いだけでは、負担感にはつながりません。担任面談を通して、やっと自分の進路について考えられるようになった。以前までは全く出せなかった提出物が、1日だけ遅れて出せるようになったなど、「担任として生徒のために何ができるか」を考え、試行錯誤して結果が得られたときの充実感は、それらの負担感には比べものにならないほどです。
また校務分掌も同様に、仕事単体として見たときには、その仕事量の偏りにいらだちを感じることもありますが、生徒に接する時間が多くとれる、今年はこの仕事をこう発展させたいという向上心で仕事に取り組めば、負担感はあまりないように思います。今までお世話になった先輩の先生方は皆、仕事量はえげつないですが、その分向上心を持って楽しそうに働いています。先生という仕事は、仕事量で見ればブラックな職場なのかもしれませんが、頑張ったら頑張っただけ成果が得られるという意味では、とてもやりがいのある仕事なのだと感じています。
これからは働く時間を短くしようというのが国の方針です。頑張る量を減らすのではなく、どうやったら短い時間で生徒が成長できるかを試行錯誤して、みんなで共有できたらよいなと考えています。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回は、真面目な話はお休みして、「雑談」をテーマに現場のことを書いていこうと思います。
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