♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【免許更新】必修②多様な子どもたちへの指導・支援

タイトルにある「多様な子どもたち」とは

発達障害のある子ども

不登校の子ども

③日本語指導の必要な子ども

と定義します。

 

発達障害のある子ども

発達障害と聞くと、指導が大変な生徒というイメージを持ってしまいますが、そもそもこの子自身に目を向けている時点で、少し問題だということに気づかされました。

ICF国際生活機能分類)モデル2001では、本人の特性を「心身機能・構造」身体のこと「活動」行動のこと「参加」役割や参加そのもののこととして捉えています。またそこには環境因子や個人因子が関わってくるのだそう。

 

参考

連携シート『むすびの和』

http://www.co-pass.jp/icf.html

 

これらを正確に説明することはできないので、これらの分類を踏まえて、どのように考えれば良いかについて聞いたことをまとめます。

 

◯車椅子の児童の例

講義の中では「車椅子の子ども」が例に挙げられていました。例えば、運動会への参加がテーマとなるとしたら、上の考え方がないと、一緒に走れないだとか、種目によっては参加できないだとか制限や制約にばかり注目してしまいます。

しかし、この考え方があると、どのようなことができるか、どのような配慮があれば参加できるかなど考えられるようになります。この参加するために必要な要素は、支援に入る人を決めたり車椅子の性能を確認したりという環境因子や、本人が出たいと思える個人因子があることにも注目できれば、本人にどうしたら良いかという短絡的な発想でなく、学校全体としてどういう体制を作るのかという広い視野で物を見ることができるのです。

 

◯障害のある生徒とない生徒の境界

自閉症スペクトラムについての説明もありました。このスペクトラムとは、連続体を意味していて、イメージとしては虹のようなグラデーションを意味するのだそう。だから自閉症スペクトラムを捉えるにあたり、定型発達に近いのか、「自閉」の特性に強さが見られるかという見方はできるけれど、その強さが一定基準を越えていれば"自閉症"と判断されるものではないというのです。だから私自身も「自閉」の特性を持つ面はあるだろうし、それが現在生活に支障をきたしていないだけだということがよく分かりました。(いや、気づいていないのかな?)

 

◯発問の仕方

最後に、先生なので発問の仕方についての話もありました。例えば道徳の時間に「この人はどんな気持ちでしょうか?」と聞いても、生徒の中には他者の心情を類推することが難しい生徒もいます。だから「どうしてこのような行動を取ったでしょうか?」のように、理由や根拠を聞いた方がより理解しやすいのだそう。

確かに無意識にそういう質問をしていました。でも、どんな時でもこれが使えるとは限りません。これは私個人の経験です。ガラスを割ってしまった時に、生徒に「どうしてこんなことをしていたんだ?」と聞いても「ふざけていたから」という答えが返ってくるだけです。だから「ガラスが割れたらどんな人に迷惑がかかると思う?」と聞いて、行動の理由ではなく、叱られている理由に気づかせることが大切なのです。これは経験のある先生方にとっては当たり前のことですが、経験のない大学生には頭で分かっていてもなかなかできない部分なんですよね。

 

 

不登校の子ども

不登校生徒がいると「学校へ登校できるようになること」がゴールになると勘違いされがちですが、目標とされるべきは「社会的自立」です。

小中学校では欠席日数が積み重なったとしても、留年することはありませんが、高校では留年してしまうため、どうしても周りが焦ってしまいます。講義の中でも、学業の遅れや進路の不利益、社会的自立へのリスクが語られていました。この辺りの話は、またいつか土日ブログの話題にとっておきたいと思います。

 

 

③日本語指導の必要な子ども

日本語指導の必要な子どもは、必ずしも外国籍の子どもとは限りません。生活していく上で最低限の知識を持っている生徒も多くいるため、講義ではそれすらも怪しい児童生徒に絞って話されていました。

 

◯ダブルリミテッド問題

ダブルリミテッドとは、第一言語が思考の基盤となる言語として身につかないうちに、第二言語も曖昧に取得してしまう状態のことを表すのだそう。母国語が日本語でないため、母国語を最優先にすべきであることを忘れてはならないのです。

今回は母国語が日本語ではない場合を扱っていますが、もしかしたら早くから英語を身につけさせたいという日本人がこの例に陥る場合も出てくるのではと思ってしまいました。

 

参考

フランス発・人生を二倍活きる方法 ヨシコーチン

https://sekaidekasegu.com/archives/1583