♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【人事交流】中高における夏休みの"先生"の過ごし方

まず話の前提として、「夏休みは先生も休んでいる」は少し間違っていることを伝えます。今の勤務校では8:30-17:00が勤務時間となっているため、その時間に合わせてお盆休み(いわゆる閉丁日)以外の平日は出勤しています。

 

◯中高の共通点

●1学期の反省

中学校では学級経営案の反省、高校では年間指導計画の反省をそれぞれ記入します。高校で学級経営案の反省を行わないのは、そもそも計画すらしていないから。中学校で年間指導計画の反省がないのは、計画がその地区で決められていて、狂いがない前提であることや各々で反省するよう求められているからです。(提出の義務はないけれど反省しろってことかな?)

●2学期の準備

中高それぞれで2学期に向けての準備期間となる夏休みは生徒にとっても先生にとって同じです。まずは課題考査、そして通常授業と続く流れの中で、早めに準備しておきます。体育祭がある場合は、ここに向けての準備を行います。

●記録の点検

夏休みだから点検をしよう、というよりは、点検するなら夏休みぐらい余裕がある時にしたいね、という感じです。だから忙しい最中に行うこともあるし、視察の直前に行うことだってあります。

●研修

強制的に行われる場合もあるようです。これは中学校のところで詳述します。強制でない研修もたくさんあります。夏休みの期間を使って、資格取得にチャレンジしている先生方も多くいらっしゃいます。私も「司書教諭」の研修に興味があったのですが、今のところタイミングが合わず、参加できていません。

 

 

ここまでは共通点です。ここからは、中高それぞれの特色を紹介していきます。

 

 

◯中学校の場合

●部活動

中学校では夏休みに入ると、基本的には部活動の指導に時間が裂かれます。私は運動部であったため、今ほどの制限がなかった時期には、毎日のように8:30-15:30の1日練習を行っていました。午前は守備練習、午後は打撃練習とやるべきことがたくさんあるからです。その分、公立だろうが私立だろうが、部活動に専念できる環境が整っていました。

活動時間に制限がかけられ(平日1日、土日祝日どちらか1日の休養日を設けること。練習時間も平日2時間以内、休日3時間程度とすること。)てからは、長くとも3時間程度で終わらせていました。練習試合は例外的に1日が認められていましたが、熱中症になることも多く、扱いが難しいと感じました。

●研修

中学校の特徴というよりは、勤務地区の特徴なのかもしれませんが、市内で研修が行われていました。全体会で講演を聞く、分科会でさまざまな講義を受講するというものです。私は分科会で書道を選択しました。

●補習、追試験(再考査)

中学校の場合、そもそも定期テストに赤点は存在しないため、追加で試験が行われることはありません。また夏期補習も塾が請け負うため、行いません。個別に学校へ登校させて、宿題のサポートを行う場合もありますが、基本的にはそれぞれでお任せ、というのが現状でした。

●日直

日直という制度自体は中高それぞれにありますが、仕事内容が異なります。

イメージしやすいのは、窓口業務です。まず出勤して、鍵を開けます。学校を一周して異変がないか確認します。そして基本的に電話の近くにいて電話番をします。遠出をする生徒が学割申請を行う場合は、発行手続きを行い、業者が来た場合は対応します。

昼になると、2度目の巡回です。異変がないことを確認します。そして昼ごはんを食べます。日直は基本的に外出禁止なので、あらかじめ用意しておく必要があります。この後も午前中と同様の仕事です。電話番とは言え、ぼーっとしているわけにはいかないので、課題テストの作成や教材研究を行います。

勤務時間1時間前ぐらいになると、最後の巡回です。ここでは戸締り、消灯も確認するため、時間がかかります。全てが終わったら次の人の机の上に、引き継ぎ資料を置き、勤務終了時刻を迎えたら鍵を閉めます。

こう考えると、最初から最後まで全てを1人でやり切らなければならないような印象を受けます。でも大体は、誰かが鍵を開けてくれるし、誰かが閉めてくれるので、勤務時間通りに来られる先生が多くいらっしゃいました。みんな優しいです。

 

 

◯高校の場合

●部活動

中学校と同様です。ただし、中学校ほど強い制限があるわけではないので、運動部は柔軟に運用しているようです。そして部活動には全員が揃わないことも多くあります。それが成績不振者の存在です。

●追試験(再考査)

定期考査で赤点を取ってしまい、5段階の1、もしくは10段階の1.2の評価となった場合は追試験(再考査)の対象となります。この試験に向けて課題が出たり、授業が設けられたりします。夏休みに入ってすぐに試験が実施されるため、夏休みの最初の方は、部活動よりも優先してこの勉強を行います。

この時に先生は何をやっているかというと、3つのパターンが考えられます。

①追試験(再考査)の出欠確認、試験監督

②部活動指導

③その他の仕事

①は、主に教務部の先生中心に運用されていきますが、出欠確認時に不在の場合は担任の先生が連絡を取ります。そして試験監督も問題作成者や該当科目の教科の先生が行いますので、想像以上の先生がこの試験のために働いています。

②③は先述の通りです。

●補習

高校の特徴の1つに夏期補習があります。多くの場合、3学年すべてで実施され、3年生の期間が少し長く設けられます。今の勤務校ではこの補習のある午前中は体育館部活動を組まないようにしていますが、学校によっては部活動と同時進行で行う場合もありそうです。(要は、補習を取る生徒が少ない場合ということですね。)

●実習、ボランティア、インターンシップ

前前任校では、校外へ生徒が出かけていましたので、その巡回を行うこともあります。特に福祉科の先生方はたくさんの実習先を回られていたので、本当に大変そうでした。実習先に夏休みなんてありませんからね。ボランティアやインターンシップも同様です。ボランティアの方が「引率」という形で生徒たちを連れて行くため、学校を不在にすることが多くあります。

●受験生のサポート

高校3年生の担任の先生は、主に専門学校受験生のために面接練習や書類の添削等を行います。学校へ電話をかければ学校のどこかにいる、となるように出勤しています。私もその1人です。

 

 

◯最後に

これだけやるべきことがあるため、夏休みはあって、ないものだと思われるかもしれませんが、そういうことでもありません。今の時代、部活動指導の時間も制限されているし、期限に追われるような仕事もないことから、工夫すれば早めに帰宅したり、1日休みを取ったりできます。初めに書いた"「夏休みは先生も休んでいる」は少し間違っている"とは、ここから来ています。私はこうやって休日も仕事のことを書いている人間なので、そういう休み方をしません。でも事実、夏休みはいつもと比べてゆとりを持って仕事ができる期間なので、私たちもできれば1日でも長く続いて欲しいというのが本音です。今年は短いですが、お盆休みは最低限の買い物だけで、家での生活に留めたいと思います。