♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【人事交流】中高におけるテストの違い

※3000字を超えています

今回はテストにおける共通点、相違点について書いていきます。先生としての視点であるため、教員採用試験の参考になったり、中高どちらの校種を選択するかの判断に活用したりできるかと思います。

 

●共通点について

◯テストの後は…

テスト1週間前から部活動がなくなることが多いため(強豪部活動や大会前の部活動は例外ですが)比較的ゆとりが生まれます。もちろん問題は作らなければなりませんが、この日までにコツコツと作っていた先生は、いつもよりも早く帰られます。

テストが始まると、中学校は給食がなくなるため、お弁当を持ってくるか、外へ食べに行かなければなりません。いや、外へ食べに行けるのです。高校は元々給食はありませんから、一緒にランチへ出かけます。いつもは形骸化している休憩時間を使って出かけるのですが、時間なんか気にしてられるか!という人は有給休暇の時間給を取得してのんびり出かけます。

管理職の先生としては、この期間にたくさん休みを取ってもらって、勤務時間を減らしてもらって、世間からブラックと言われないようにしたいみたいです。

 

◯不正行為を未然に防ぐ

テスト中はカンニング(高校では携帯電話鳴動)、テスト返却時は改ざんといった不正行為が起こるため、事前に担任や試験監督から注意が加えられます。それは責任回避の意味合いももちろんありますが、未然に防ぐニュアンスの方が強いです。

そのために教室を掃除して、不正行為と疑われるような環境を作らない工夫がされています。例えば机の落書きチェックとか、机の中にプリントが入っていないとか。その点中学校の方がしっかりと見ていたように思います。

 

◯寄り道してないよね?

テスト後はきちんと真っ直ぐ家に帰っているかを巡回します。中学生たちは小学校へ遊びに行くため、小学校のグラウンドへ様子を見に行っていました。あとは近くの公園やその辺の路地でたむろしていることもあるので、パトロールですね。

一方高校生は、フードコートやお店で長時間勉強し、一般のお客様に迷惑をかけるため、立ち入りを禁止(制限)しています。もちろん中学生と同じようにたむろする場合も見られるため、こちらも巡回します。高校生の方が活動範囲が広いので厄介ですね。

 

●相違点について

◯そもそもテスト数が違う

大枠で考えれば、中学校は中間テストが2日間、期末テストが3日間で終わるのに対し、高校はそれより長い期間で行われることが多いという特徴があります。でもこれは、中学校と高校の違い、というよりは、学校によって(地域によって)変わる類のものですから、あまり今回扱う話題とは少し外れるのかもしれません。

 

◯テスト中の居眠りはどう対処するか?

これも学校によるのかもしれませんが、大事なことなので書きます。テスト受検中、必ず居眠りをする生徒が出てきます。前を向いたまま、うとうとする生徒はまだ受検意思があるので可愛いですが、完全に伏せてテストを解く意思がない生徒もいます。そんな時にどう考えるかは中高によって違うと思います。

中学校はテスト中も指導の機会であるという意識を持ちます。つまり、「寝ていたら起こせ」が絶対です。テスト中に寝る癖をつけてしまったらいけないという感覚を持っているのです。高校は(もちろん学校によって異なりますが)寝ていたら自己責任というニュアンスが強いように思います。つまり、「寝ていたらほかっとけ」です。(ほかるって方言ですか?放置ってことです。)高校生にもなっていちいち手をかけるのはどうかと考えるのが高校の先生の考え方なのです。

断っておきますが、どちらが良いという訳ではありません。そういう感覚を持って指導にあたっていることを知ってもらいたいだけです。

 

◯赤点制度とそうならないための声がけ

高校には赤点制度があります。平均点の半分を赤点とするか(かつての相対評価です。まだやってるところあるみたいです)、平均点60点を前提として、30点を赤点とするものです。これがあるから、勉強が苦手な生徒にどう教えるかが教科担任の力量ということになります。力量のない先生は「ここが出るよ」の一言で回避できますが、そういう訳にはいきません。

一方中学校では、赤点制度はないので、平均点60点を狙うことに集中します。だからできる生徒は9割、できない生徒は1割も解けない問題が発生します。できる生徒は良いですが、できない生徒にとっては地獄です。だから私は、できる生徒ができない生徒に教える時間を設け、長時間に渡りテスト直しを行いました。実際に結果が出たか分かりませんが、賢い人の思考回路に触れられたという意味では有意義な時間であったと言えます。

 

◯観点別評価

高校ではまだ検討段階ですが、中学校では当たり前に行われているのが観点別評価です。もうすぐ変わるので、現状と少しズレがあるかもしれません。ここでは自分が去年までやっていたことを参考として示したいと思います。

国語では「関心・意欲・態度」「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」について細かく評価していきます。特にテストでは、1枚のテストで複数の観点の評価を行います。

 

①「話す・聞く能力」

英語のように聞き取り問題を出す例もあれば、生徒同士の会話から出題される例もあります。共通テストでの出題傾向にもあることから、高校でも見られるようになってきました。これを「話す・聞く能力」として評価します。

 

②「書く能力」

作文で評価をつける場合がほとんどです。定期テストでも文章記述の問題に対して評価をつける場合があります。3点問題3つだけというのもよくありました。

 

③「読む能力」

いわゆる普通の国語のテストはこれに当てはまります。文章の一部に傍線部があり、そこから適当なものを選んだり、本文中から抜き出したりするアレです。ただし、②の問題が絡んでくる可能性があります。どういったことを生徒に求めるか、明確にしておかなければならないのです。

 

④「言語についての知識・理解・技能」

基本的には漢字の書き取り、読み方の問題です。この漢字もどこまでしっかり見るかで議論になります。

 

常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/jitai_jikei_shishin.pdf

 

これによると、平たく言えば「形があっていればマル」ということになりますが、これをすると採点者のことを全く考えない、意味不明な字体を書いてくる生徒がいるので、「答案は誰もが見やすく、見間違いがないものとすべし」と指導しています。

高校入試では一画一画きちんと書かれているか、が1つのポイントになるため、そこは意識して書かせるようにしていました。高校生はそこまでしないですけどね。

 

◯終わりに

中高どちらが良いという訳ではありませんが、観点別評価を取り入れている以上、本人にどんな力がついているかをより正確に捉えられている気がします。一方で高校の赤点のように、一定レベルに達していない生徒に補充講座や再考査を実施して、力不足を支援する制度があることはとても大切なことだと思います。どちらも良いが見えてくるとまた考え方が変わると思いますよ。ではまた。