♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

第7章 定期考査時に心がけること

1.定期考査はどういうものか

 高等学校へ進学して初めて臨むのが、オリエンテーションテストです。これはまだ緊張の中で行われるため、特にこちらから指示すべきことは無いように思いますが、それでもできない生徒がいるのも事実です。今回はオリエンテーションテストも含め、定期考査前から後にかけて心がけるべきことを説明していきます。

2.衝撃の中学校1年生

 この章は必要ないとも思ったのですが、底辺校の生徒はここすらもできない可能性があります。以下の内容は、実際に私が中学1年生に向けて説明した内容です。
①テストの準備としてテスト隊形を作ること。
 普段は隣同士、つまり2人1組で机がくっついているので、離した状態にしておきます。

②机の上は鉛筆(シャープペンシル)と消しゴムのみにしておくこと。
 机の横に物をかけさせず、机の中は空にしておき、筆箱や教科書、プリント類は全て鞄の中にしまわせます。

③時計を見て”早めに”行動すること。
 5分前のチャイムの時点で着席(挨拶)、問題配付、2度目のチャイムで開始となるので、チャイムが鳴ったら移動ではなく、
 時計を見て行動するよう促します。

④テスト前の挨拶から、テスト後までの挨拶は無言で先生をずっと見ること。指示に従うこと。
 言っておかなければとにかくしゃべります。先生に注目させるのは、キョロキョロして不正行為と判断されることを
 防ぐためです。

⑤物を落とした時、質問がある時ももちろん無言で手を挙げること。
 こう書くと学級が荒れているように見えますが、そうではありません。何も考えずにいつもの癖で「先生!」と大きな声を
 出してしまう生徒が何人もいるため、このように伝えます。

⑥絶対に、カンニングカンニングっぽい行動はしないこと。
 具体的には④にも書いた、キョロキョロです。みんなのことが気になって様子を見ようとする行動が、
 カンニングと疑われることを伝えておきます。それでも衝動的にキョロキョロする生徒はいますので、優しく教えます。


3.高校生に対してはどこまで説明するか

①名簿番号順に座り直す
 年度当初は番号順に座っているため、気を遣う必要はありませんが、席替えした後は座り直しが必要です。
 それだけではなく、元々座っていた場所にプリントを置きっぱなしにしていたり、荷物をひっかけていたり、
 落書きを残していたりして、それがカンニング行為として扱われる可能性があります。注意しましょう。

②机の上は鉛筆(シャープペンシル)と消しゴム、シャープペンシルの芯のみ、机の横・中は何もなし
 普段の授業とは異なり、カンニング防止のために筆箱ではなく、シャープペンシルと消しゴムのみとしています。
 机の中に物が残っている場合は、机の中に手を入れていない場合がほとんどですから、朝のSTでも、
 テストの直前でも必ず手を入れて確認させましょう。

③時計を見て”早めに”行動すること。
 5分前のチャイムの時点で着席(挨拶)、問題配付、2度目のチャイムで開始となるので、チャイムが鳴ったら移動ではなく、
 時計を見て行動するよう促します。時計を見て準備するよう声をかけているクラスは2学期後半から指示しなくとも
 行動できるようになっていきます。

④何でも確認すること
 テストが一通り解き終わったら、すぐに裏を向け、伏せてしまう生徒がいます。テスト中は教員が手を出してはならないと
 言われることがありますが、私はそうは思いません。テストであっても、寝ている生徒がいれば起こすべきだし、
 粘り強く最後までやり切る力を3年間で身につけさせるよう働きかけるべきだと思います。


4.定期考査に向けての課題をきちんと取り組ませること

 定期考査に向けて、テスト範囲として副教材を設定しますので、当日までに課題を終わらせ、提出する必要があります。毎週のように課題を提出させ、何度も再提出させる先生もいれば、テスト当日に全てを提出させ、テスト返却とともに再提出者、未提出者の指導を行う先生もいます。
 私は、学習習慣をつけるためには、できるだけ頻繁に提出させべきだと考えます。当然、先生の負担は増えるし、未提出者にはその都度指導を加えなければなりません。でも、それをやることで、テスト後に見返したとき、自分が全く同じミスをして再提出になっていることに気づき、自分の勉強の仕方について振り返ることに繋がると思います。この課題の取り組ませ方は、忙しい中で考えるのは大変ですが、しっかりと決めておけるとよいなと思います。


5.定期考査直前の自習

 高校ではあるあるですが、複数の教員で同じ授業を受け持っていると、授業進度を調整するために、テスト前に自習の時間を取ることがよくあります。しかし、それを「この時間、好きに使って良いよ」と指示するのは少し違和感があります。
 彼らは「自習」=「自由時間」だと勘違いしています。だから、席を自由に移動し、自由に友達同士で机をくっつけて楽しい雰囲気で勉強を始めます。確かにそういった勉強方法はないわけではありませんが、自習ではありません。(他人を交えている時点で自習なのかと疑問を抱いてしまいます。)まずは自習とはどうあるべきかのルールを示すべきだと思います。
 また、自習に入る前に理解度を把握する必要があります。例えば国語であれば、復習として必ず要約をさせたり、4コママンガを書かせたりして理解度を把握します。当然要約が書けない生徒は、ノートを見返し、必要があれば先生に見せて添削を受けます。4コママンガであれば、場面を捉えるために本文をもう一度見返して、必要があれば辞書を使って調べます。それぞれの理解度を捉えた上での自習なので、先生も理解度の低い生徒のサポートに回れるため、効率よく自習の指導ができるのです。
 もちろん課題に取り組ませることも大切です。ただし「課題をやれ」ではなく、課題のポイントや○付けの仕方など、全員がどう取り組むべきかを明確にしておくことが必要だと思います。偉そうに言っていますが、私もまだここは勉強中です。


6.定期考査後の巡回

 定期考査の日には、いつもよりも早く帰宅できます。いつもは夕方、もしくは夜ですから、ついつい開放感をもってしまい、遊びに行きたくなります。それが他人に迷惑がかからなければいいのですが、大抵トラブルに繋がります。そのトラブル防止のため、定期考査当日には、交通安全指導(下校指導)や大型店舗のフードコートへの巡回を行います。
 生徒の中には、フードコートで勉強するのは悪いことではないと言い張る者もいます。しかし、食事を取るスペースで何かを買ったとは言え、複数名で会話しながら勉強しているのはこのご時世よいとは言えませんし、そもそもこんな環境で勉強することが身になるかどうかも疑わしいと思います。場所がフードコートでなく、学校であっても同じです。ついつい話しかけてしまい、それが盛り上がり、騒いでしまって、勉強に集中できないなんてことはよくあります。



7.答案返却時に気をつけるべきこと
 
 考査が終了した後、先生方は採点に苦しめられますが、同時に部活動が再開するため、空き時間を上手く使って採点を終えます。そして、次の日から返却となるわけです。答案返却で最初に起こりうる指導は、答案改竄(かいざんって読めないし、書けないですよね)です。改ざん防止のために、返却時の机上は赤ペンのみにさせるのが一般的ですが、それでも起こり得ます。約40人に答案を返していれば隙はいくらでもありますから。そこで、いろんな工夫が為されています。私は採点時に無回答のチェックサイン(解答欄を埋めるように線を一本引く)を入れたり、誤答の場合はその答えにかかるように×をつけたり、その答えのどの辺が×だったのか波線を書き加えたりします。
 そういった事情を知らずに、平気で改ざんしてくることもあるため、そこから厳しく指導を行います。改ざんを認めずとも、改ざんの疑いがあったことは3年間通して、何度も共有されますから、この生徒は改ざんするような生徒だと思われないためにも、疑わしいことはやめるようにと呼びかけるようにしています。テスト中のカンニングもそうですが、その数点分で、その後の進路指導に大きな影響が出るリスクを考えれば、そんなバカなことはしない方が良いに決まっているのですけどね。




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