♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【課題研究】学年全体の学習習慣と学習意欲の向上に向けて

1 主題設定の理由
  本校の昨年度のアンケートを見ると、1年次の学習時間について、平日も休日もほとんどしない生徒が毎年1割を超えている。そこで、昨年度は主に休日にMicrosoft teamsを利用して、働きかけを行ったところ、多数の生徒が家庭学習に取り組むようになった。今年度はそういった働きかけを、さまざまな教員から発信するとともに、1人1人面談を行う形での居残り指導を実施することで、学年全体の学習習慣の確立と意欲の向上に繋げたい。

2 研究仮説
 (1) 6月のアンケートと12月のアンケートを比較し、学習平均時間が増加している。
 (2) GW課題の未提出者と夏休み課題の未提出者を比較し、未提出者の数が減少している。
 (3) 数値としては表れないものの、Microsoft teamsでの学習宣言を行う生徒が現れたり、スタディ
プリの自主学習者が増加したりしている。
   
3 研究計画・研究方法
 4月 スタディサプリでの課題配信(各教科担当からの配信)
    Microsoft teamsによる情報の発信開始
    意欲的な生徒たちのチームを作成する
 5月 GW課題の提出物が出せない生徒との個人面談を行う
    中間考査を目途に改善がみられるかを確認する
    担任と連携し、改善が見られない生徒と再度面談を行う
 7月 期末考査の結果や成績不振者指導とともに、各生徒への手立てを担任と相談し、実践
    夏休み課題を配信するとともに、夏休み中に働きかけを行う
    意欲的な生徒たちの結果の分析も同時に行い、必要に応じて担任と連携を図る
10月 中間考査を目途に改善がみられるかを確認する
     模試に向けての課題を配信する
11月 模試
     中間考査成績不振者に向けて、各生徒への手立てを各担任と相談し、実践
12月 模試と期末考査の結果を分析する
成績不振者指導とともに、各生徒への手立てを担任と相談し、実践
意欲的な生徒たちの結果の分析も同時に行い、必要に応じて担任と連携を図る
1月 研究のまとめを作成



4 研究の実際と考察
 (1)スタディサプリの配信
   数学担当、英語担当と連携を取って、定期考査対策として課題配信を行った。特に英語科では週末
課題にスタディサプリやスタディサプリENGLISHを積極的に活用し、学習習慣定着のために努めた。
また、年2回の到達度テストを踏まえた、連動課題配信を行い、長期休暇の課題として取り組ませた。
   学年全体としては4月から12月までの動画視聴時間は平均4時間、確認テスト完了数が108である。また、取り組みの多い上位50名で集計を行うと、平均18時間、確認テスト完了数が181であった。またこの中で定期考査上位50名の層からは9名、下位50名の層からは12名が名を連ねており、個別最適化された学びが数値からも見取ることができた。

  (2)Microsoft teamsの配信
   ア 学年全体への配信
    毎週土日祝日と夏休み・冬休みには、欠かさずこちらから学習意欲を高めるメッセージを配信した。このメッセージが直接学習へ向かう姿勢へと繋がったかを裏付けるデータはないものの、Microsoft teamsでの配信をこまめにチェックし、使いこなそうとする生徒が多くいることは間違いない。例えば、学校祭のアンケートを実施した場合は、24時間で200名を超える回答が得られ、アカウントを忘れてしまったという生徒も2学期の後半には全く現れなくなった。これらのことから、メッセージの配信が生徒にとって身近なものとなったことは間違いないと言える。
   イ 学習意欲の高い集団への配信
    全体へのメッセージとは別に、学習意欲の高い集団へのメッセージ配信をGW中から実施した。当初は実際に集まって、課題を与える予定であったが、上手くいかなかった。具体的には、教室に集めて課題を出したときに、「こういうことをするならば、このグループからは辞めたいです」「別に頑張ろうと思ってこのグループに入ったわけではありません」などと否定的な意見が相次いだ。
    そこで、毎回配信をする度に、各々の目標を立てさせ、それが実行できたかを確認するという形で学習の手助けを行うこととした。ここで生徒が具体的にどのような宣言や振り返りを行っていたかについて紹介したい。
宣言「今日はパスワード級別漢字、基本の現代文、LT古文、黄色チャート、3TRIALとテストに向けて学習し、5時間程やります。」
振り返り「今日も5時間程できました。計画していた課題を進めることができたのでこの調子で勉強をしていきたいです。」
   宣言「8月5日の○○さんの書き込みが良かったので参考にします。
      今日は10時~11時30分二次関数
         13時~14時 スタサプ現文
         15時~16時 分詞構文受動態
         18時~単語帳1201から1400をやりたいと思います。」
振り返り「宣言通りに出来ました。開始時間を意識すると勉強時間が上振れました。」
   宣言「今日は大会があったり、予定が重なっているので、終わってから、昨日できなかった模試の過去問と、論表の原稿と、現国のレポートをやります。」
振り返り「今日は帰るのが遅めになってしまい、まだ模試の過去問しか終わっていません。寝るまでに現国のレポートと論表の原稿を仕上げます。現国のレポートはもうすぐで終わりそうです。」
宣言「今日は漢字と基本の現代文を1ページ、チャートをできるだけ進めます。」
振り返り「今日やる予定だったものは達成出来ました。ただいつも余り勉強しないので少しやった
だけで満足してしまい、勉強時間が少なくなってしまいました。」

 (3)課題未提出者の呼び出し・居残り指導について
  ア 居残り指導対象者の実際
   春休み課題、GW課題、そして夏休み課題未提出者の居残り指導を行った。今回の研究には入れなかったが、冬休み課題でも実施した。春休み課題8名、GW課題54名、そして夏休み課題62名いた。結果的には増加傾向にあるものの、昨年度1年生の対象者が100名を越えていたことを考えると、数は減っている。また、3課題の重複生徒は3名、どちらかの重複生徒は27名であったこともその根拠となっている。
イ 具体的な方策
GW課題の時には、課題が終わっている生徒と、課題が残っている生徒がいたため、終わっている生徒から順に面談を行った。また、その時に1~2分で書ける反省用紙を配り、その紙を見ながら面談を行った。具体的には以下の通りである。
① 居残り指導対象者全員へ呼び出し状を渡す。(62名)
② 対象者のうち、先生のチェックミスや前日欠席などやむを得ない事情がある場合は昼に来るよ
う指示する。(25名)
③ 対象者のうち、②に該当しないものは、全体指導を受けた上、課題に取り組むとともに、作文を
書いて、学年主任と面談する。
   また、課題が終わっている生徒は、夏休みの過ごし方の反省と、今後の目標を書いた作文を提出
し、学年主任と面談を行う。(8名)
 

5 今後の課題
 先日のアンケートでは、「学習をほとんどしない」と答えた生徒数が、平日では96名、休日では78名であった。前回の7月アンケートでは、平日64名、休日76名であったことから、平日の学習時間が若干減少傾向にあるものの、土日に関して言えば、配信が功を奏し、何とか維持できている。
反対に3時間以上の生徒は平日16名、休日37名であった。前回アンケートでは平日14名、休日64名であったことから、休日の学習時間が減少してしまっている。元々上位層と下位層での二極化が見られていたものの、全体的に学習時間が減少してしまったという事実は認めざるを得ない。
 今後は、この「学習をほとんどしない」生徒が、学年全体に及ぼす影響について分析し、工夫していかなければならない。具体的な方策は、先述の居残り指導のように、個別に声をかけていくしかない。粘り強い指導を通して、生徒たちの主体的に取り組む態度を育成していきたい。



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