♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【人事交流】不登校に対する考え方の違い

不登校生徒とは、どんな生徒を指すか?
文科省の定義
不登校児童生徒」とは「何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を 除いたもの」と定義しています。

(引用元:不登校の現状に対する認識|文部科学省

さらに、それぞれの学校種ではどのような生徒を、不登校生徒と捉える感覚をもっているか。その生徒に対してどのような対応を取るかについて書いていきたいと思います。

●高校で必ず教わる「履修」と「習得」
ほとんどの生徒が意識せずに卒業していきますが、学校では、決められた回数の出席があったという「履修」と、その授業を通して、一定の学力が身についたという「習得」の2つがあります。
「習得」は、定期考査の度に、赤点という形で示され、自分が成績不振者であることは自覚しやすいのですが、「履修」の場合はそうではありません。

●中学校と高校の決定的な違い「出席日数の規定」
法律で決められているわけではありませんが、大抵の高校では、進級・卒業の条件として、3分の2以上の出席を条件としています。言い換えれば、3分の1を超える欠席(授業の欠課)があれば、認められません。これを履修不認定と言います。
この「履修」については、定期考査の度に確認はするものの、学級担任と教科担任の双方で数字の確認を常に行い、欠課が一定数を超えると指導の対象となります。最近休みが増えてきたなと思ったら、学級担任がカウントをして確認をするため、初めて学級担任を受け持つ場合はとても神経を使います。

●中学校の場合は?
中学校は出席日数に関わらず、卒業認定されます。会議はありますが、卒業不認定になることはまずないとのことでしたので、形式的に行っているのだろうと思います。


不登校生徒への高校の対応
●欠課過多の状態をどこで迎えるか?
特に1年生は入学後、学校に来られなくなってしまう場合があると、立て続けに休んでしまいます。中学校の感覚があるからだろうし、そもそも行けないからです。そうなると、担任は定期的に家庭訪問し、指導の度に来校いただき、話をするという手続きを踏みます。ただ、この手続きを1学期に踏むのか、3学期に踏むのかで考え方は大きく変わってくると思います。それは、本人にとってどのような進路がベストかを考えるからです。

●1学期中の欠課過多は、転退学を連想させる
これも1年生の場合は、進学先としてこの高校を選んだとしても合わなかったということが強く疑われます。だから、はっきりとは言いませんが、転退学の選択肢を提示し、本人にあった学校生活とはどのようなものか、このまま原級留置(留年)することが本人にとってプラスになるのかを考えるのです。

●3学期の欠課過多は、最も難しい問題
1年生の3学期に入った時の欠課過多は、とても難しい問題です。何とかギリギリまで本人に頑張らせることも、今年は諦めて原級留置とし、また1年頑張らせることも、取れる分の単位を取って転学することも選択肢としてありますから、本当に悩みどころです。
それは同じ学校で、同じようにこれからも頑張れるのが一番ですが、そうできないからこそ、この問題に直面するのです。相談のために家庭訪問したり、本人や保護者とたくさん話したりします。これは永遠の課題なのかもしれませんね。


不登校生徒への中学校の対応
●継続的に連絡を取り合う
一方中学校では転退学という概念はほとんどありません。(転校という考え方はありますが、人間関係や家庭の事情によるものなので、不登校だからという理由は少ないように思います。)
だから、卒業まで定期的に連絡を取り合う必要があります。不登校の度合いにもよりますが、保健室なら行けるだとか、体育祭なら行けるだとかという生徒ならば、何時に来て、どのような形で参加して、迎えを何時に呼ぶかなど事細かに調整して当日を迎えます。それだけやっても、参加できないということがありますから、報われないことも覚悟で準備しなければならないのです。

●迎えに行くのはありかなしか
これは中高両方ともあったことですが、登校できるように先生が迎えに行くというものがあります。これをするとなると、負担が大きくなるだとか、いつまで経っても自立できないだとかいろんな意見をいただきます。でも「来られた」という経験が大事だと考えて行動しようという先生の熱い想いがあるという意味では、必要なことなのかなと思います。


不登校の原因
●原因は探るな
最後に、不登校の原因について考えていきます。要因はさまざまありますが、多くは複合的な問題によるものですから特定は難しいというのが現状です。
例えば、いじめをきっかけに学校へ来られなくなった場合でも、その後にクラスメイトを信頼できないだとか、学校に行けなかったせいで勉強についていけないなど別の理由が出てきます。もしかしたら、学校には関係のないところで、自信が持てず気持ちが落ち込んでしまう場合もあるかもしれません。先生はその原因を探るのではなく、どんなことに悩んでいるのか、どうしたら気持ちが楽になるかを一緒に考えていくことが大切なのです。どうしても学校へ来させたいという気持ちも出てきますが、それもNGです。本人の人生を考えた時、どんなことがプラスになるかを考えていければ良いと思います。

●まとめ
今回は不登校生徒に注目して考えてみました。不登校という問題は本人も親も担任もしんどいですが、その中での対話を通して、本人の気持ちをきちんと受け止めて、一緒に将来を考えられるという点では、とても有意義な機会と捉えることもできます。前向きに考えられるよう、これからも本人に寄り添って指導にあたりたいと思います。


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