♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【学校経営】観点別評価(現場の混乱)

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▼ 成績処理中
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 期末考査が終わり、いよいよ1学期の成績が出るというところまでやってきました。各教科、今年度から3観点で評価をつけるというところから、非常に苦労して成績をつけていますが、何とか付けるめどが立ったようで安心しました。
 しかしながら、生徒本人や保護者が受け取る成績が納得のいくものかどうかという点は、甚だ疑問です。ゆえに今回は、中学校と高校(本校の場合)の違いと、それに応じてどのような準備をしているのかについて、物語形式で紹介したいなと思います。場面によっては、フィクションが含まれています(いやフィクションの方が多いかも)ので、全てが事実だと思わないようにしてください。

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▼ 中学校は重み1:1:1
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 ストーリーに入る前に簡単な説明です。全ての中学校ではありませんが、多くの中学校では知識・技能1:思考・判断・表現1:主体的に取り組む態度1の重み付けで評価を行っていました。評価の付け方は各学校の担当に委ねられているため、全てが完全に統一されているわけではありませんが、少なくとも授業内で説明があったり、通知表の返却時に助言したりしています。言い方を換えれば、説明責任を果たそうと努力している姿は伝わるようになっているのです。
 また、万が一成績に納得いかない場合には、通知表が渡される終業式当日の夕方から夜の間に問い合わせをもらい、場合によっては来校いただいて具体的な説明を行うのです。これが当たり前だと思って、これからのストーリーを進めていきます。
 

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▼ 保護者会までの流れ
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 中学校と同じように、7月に保護者会が組まれました。担任の先生からは、成績不振科目や、出席日数など何らかの問題がある場合は3者で、それ以外は2者でお願いしますという連絡が来ていました。数日前、うちの息子は成績不振科目があるという紙を持って帰ってきたので、なるほど3者になるのかと覚悟しました。担任の先生からは特に連絡がなく、確認した方が良いかなと思い、こちらから連絡を入れました。担任の先生からは、「その通りです。よろしくお願いします。」とのことでした。ママ友にこの話をしたら、うちの息子は不振科目が5つあるから、連絡が来たよと話がありました。ん?科目数に違いがあるのかしら?


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▼ 保護者会当日
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 保護者会の会場へ少し早く着きましたが、廊下には冷房がついておらず、汗だくで待つことにしました。後々確認してみると、待機場所があったとのこと。しまった。そんな話聞いていなかったし、こちらも確認していなかったなと少し反省しました。
 教室に息子と入り、その場でさまざまな資料とともにいきなり通知表を受け取りました。「言語文化」と呼ばれる科目で1がついていたので、これが成績不振科目というものかと思いました。観点別評価の説明用紙もそのタイミングで受け取り、説明を一通り聞きました。それで、言語文化とは国語?英語?
 中学校まで全くなかった追試験と、補習についての説明があった後、文型か理型かの話がありました。そして、「何か質問はありますか?」と担任の先生が聞いてくださったので、「言語文化は国語か、英語か」と「どうやったら2になるか」の2つを聞きました。


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▼ 質問に対する返答
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 担任の先生は「言語文化は国語ですよ」と話しました。続けて、観点別評価の説明ももう一度していただきました。
 「中学校までは数字の横のアルファベットがBBBになっていれば、3にしかならないというルールで成績が付けられていたと聞いています。でも本校の成績の付け方では、2になったり4になったりすることがあります。お母様がおっしゃった点は、この表を見ると観点がCBCとなっているので、可能性として考えられるのが、主体的に取り組む態度の観点でつけているプリントの空欄が多かったり、きちんと書けていなかったりすること。だからCだと思われます。あとは、知識・技能の観点でもCがついていて、定期考査の点数が中間考査35点、期末考査33点ですが、知識・技能の部分をもう少し頑張らなければならないと言えます。これらについて詳しく知りたいようならば、本人へ教科担任が説明しますし、お母様へ説明する場を設定できますが、いかがですか?」
 担任の先生からこういわれた時、息子が「分かってるからいいよ」と言いましたが、知りたいと思い、お願いしますと伝えました。


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▼ 教科担任からの説明
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 直接面と向かって話す場面は設定できなかったので、お電話で話を聞くことができました。どうやら古典作品の下調べをしてから、授業に入るという流れの中で、本人は数行しか調べていなかったようです。ものを見せてもらおうとしましたが、本人が物を捨ててしまっていたため、根拠となる成果物を見ることはできませんでしたが、評価の付け方を知ることができて、少しだけ納得できました。
 本人は受け取ったら全てすぐに捨ててしまうので、これからはきちんと取っておくように親子で決めました。あまり課題に介入すべきではないですが、本人ができないのであれば、多少は見てあげる必要があるのかなと感じたからです。


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▼ 中高の評価の付け方
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 いかがでしたか?中学校では1:1:1の重みで評価を付けていて、アルファベットの数で成績が固定されているという話でしたが、本校では異なります。ただし、定期考査偏重にならないために、観点間の重みの差が2倍いじょうにならないようにという制限がかけられているため、主体的に取り組む態度の割合は低いものの、それなりに配点が多くあります。
 そして大きく異なるのは、本校では総点で評定を出しているということです。例えば、満点を300点として、8割を5としたら、240点以上が5ということになります。そして、中学校の評価の付け方でいけば、各観点で80点以上を取らなければ、5がつきません。(知識・技能78B、思考・判断・表現85A、主体的に取り組む態度90Aで、BBAは4だからです。)しかし、本校では総点式を採用しているため、同じ点数でも78+85+90=253点で5がつくのです。
 さらに、各観点の配点もさまざまであるため、例えば知識・技能130:思考・判断・表現100:主体的に取り組む態度70であるならば、知識技能104点以上でA、思考・判断・表現80点以上でA、主体的に取り組む態度56点以上でAという観点のなかで、アルファベットの並びと評定との関係性が、中学校とは全く違うものになるのです。理解できますか?


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▼ ストーリー上の生徒
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 今回説明に使った生徒の例は、言語文化が1の生徒でした。本校の配点ではありませんが、仮に知識・技能130:思考・判断・表現100:主体的に取り組む態度70とします。(知識技能104点以上でA、思考・判断・表現80点以上でA、主体的に取り組む態度56点以上でA)
 この生徒が知識・技能12点(39点以下でC)、思考・判断・表現54点(30点以上でB)、主体的に取り組む態度19点(21点以下でC)、総点は85点となるため、総点300点の3割(追試ライン)90点を越えることができず、追試となったのです。
 このあたりの複雑さをどう説明するか。学年主任としてできることは準備しておこうと思います。


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