♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【人事交流】誰を送って欲しいの?

◯進路説明会開催
先日、地区の中学校の先生へ向けて、公立私立両方の高校の先生が説明を行いました。本校からは教務主任の先生が説明へ向かわれましたが、その直前にいろんな質問を受けました。
「どんな人が参加するの?」
「どんな話を聞きたいの?」
お互いを知るための会なのに、ここには大きな溝があることを改めて感じました。今回は、中学校、高校それぞれの立場で見えていること、見えていないことを紹介し、最終的に現在生徒集めに苦労している普通科高校のあるべき姿について考えていきたいと思います。


◯中学校にいると、高校の情報は一切入ってこない
中学校へ異動して初めて感じたことは、3年生の担任をしていても、高校の情報は入ってこないということです。たまに、掲示用の紙が配布される程度で、こちらから情報収集をしようと思わない限り、何も分かりません。
では、情報収集をしようと思ったら、どれだけの情報が得られるのか?具体的な学校名は伏せますが、ある二校を例に見てみましょう。

●とある私立高校の場合
学校名を検索すると、キャッチコピーとともにHPがヒットしました。ページを開くと、学校案内のパンフレットや学校説明会の案内、そして設置されているコースの詳細ページへのリンクがありました。
コースのページへ飛ぶと、カリキュラムだけでなくそのコースの特殊が具体例とともに示されていました。この学校は写真がありませんが、他校を見てみると、楽しそうな写真が載っている例も見られました。
他にも部活動、学校行事の紹介がありました。ページとしては校内写真、学校紹介動画があるようですが、残念ながら観られませんでした。そして卒業生のメッセージも写真付きでありました。

●とある公立高校の場合
学校名を検索すると、一番上にHPがヒットしました。ページを開くと、学校生活の写真がスライドショーのように流れていました。また中学生向けのページがありました。
このページを開くと、愛知県教育委員会高等学校教育課のHP(入学者選抜制度についての説明)へのリンクと推薦選抜実施要項(まだ昨年のものでした)が公開されていました。また、中学生体験入学の案内と、当日配られるはずだったリーフレットが公開されていました。
他にも学校行事や部活動紹介のページがありました。

●HPから分かること
どちらのHPからも中学生が学校生活を送る時に想像しやすい作りになっているなと感じました。当然ですよね。中学生が選ぶ参考としてHPがあるのですから。では、高校を選ぶ上で参考にするのは、どんな部活動があるのか、どんな学校行事があるのか、だけでしょうか?
学校選びのもう一つのポイントは、進学実績です。私立、公立両方ともが、どのような大学に進学したかを示しています。(私立は人数まで、公立は人数非公開でした。)ただし、どういう生徒がこの進路を辿ったのでしょうか?

●私立、公立へのイメージ
これは個人的に、ものすごく嫌いな偏見ですが、「私立の方が面倒見が良い」というイメージがあります。この根拠は、中学時代同じ学力層の生徒が、公立へ進んだ場合と、私立へ進んだ場合では"進学実績"に違いがあるからです。つまり、中学校の先生たちは、自分の教え子がどんな人生をたどったか?を基に、公立私立どちらの選択肢が幸せかを判断しているのです。(もちろん学費の面や、保護者、学習塾の意向も強く影響されるため、それだけとは言えませんが、一つの要因としてあるのは間違いありません。)

●もっと具体的に知りたい
だからこそ、本音を言えば、内申点いくつ、入試何点の生徒で、コースや文理選択を行い、どのような努力をした結果、どのような実績を残したのかを知りたいのです。でもこんな情報、出せるわけがありませんから、せめて「学力が低くても進路実現できるようにたくさんの補習をやっています」とか、「本人のモチベーションが上がらなくとも担任が細かく面談しています」とか、その学校がどのような努力をしているのかを聞きたいのです。


◯高校にいると、中学校の事情は考えられないし、考えようもない
逆の立場で考えてみます。高校から見る中学校(中学生)のイメージは入試ですから、入試の時に第一志望の生徒がどれだけ集まるかを中心に考えて動きます。その情報が得られるのは、新聞で発表される進路希望調査の結果の時だけですから、それ以外の場面では一体どのような動きが起きているかというのは想像すらできません。せめてものアピールで、学校説明会を行いますが、今年は行えていない学校も多くあります。こうなると、中学生は何を考えているのか?と単に疑問を抱いて終わり。それが高校の現状です。

●公立衰退の一途を辿る
この状況の中、鍵を握るのは保護者と学習塾です。保護者は昔からのイメージや、進学先の我が子を抱える保護者の評判により、選択肢を絞っていきます。そして学習塾は、これまでのデータを参考に、数字で進学先を提示します。残念ながらこの点において、公立の方が上だという保証はありません。リアルな声を聞くと、「一定水準以下の公立高校へ進むぐらいなら、入れる私立高校へ進ませた方が良い」という声をいくつも聞きました。このコロナ禍でオンラインに対応しきれなかった公立高校を見ると、それは当然なのかもしれません。

●公立高校の生きる道はないのか?
ここまで書き進めると、私の考えが「公立はもうダメだ。価値がない。」と悲観しているように見えるかもしれませんが、そうではありません。この現状を踏まえて、公立高校が努力し、本当の意味で公立私立関係なく学校選びをしてもらえるようにしたい、というのが本音です。

●生徒集めに苦労している学校の特徴
ここでそのような学校の特徴をまとめてみました。
①その学校へ進んで、生徒の力を本当に伸ばせるのか?(実績が残せるのか?)が見えない
②進路目標が明確でない生徒が、目標を明確にするためのカリキュラムや催しがあるか?が見えない
③特に普通科は、他校と何か異なる特色があるか?が見えない
①については、これまで述べてきたように、進学実績やそのための対策として何をしているのかをアピールする必要があります。問題は②③です。最後にこの点について話して、終わりたいと思います。


普通科のあるべき姿とは?
これまで普通科は大学進学を目指して指導を行ってきました。だから学校全体のカリキュラムは、大学進学のためのものです。けれども一定水準以下の学校となると、大学進学よりも専門学校を選択するケースも出てくるため、授業を教えていてもモチベーションの上がらない生徒が多く見られるようになります。そうすると頑張りたい生徒が頑張れず、進学実績も出ないため、もともと学力の高い生徒が進学して来なくなるという負のスパイラルに陥っていくわけです。
では、これからは多様な進路に対応するカリキュラムにしよう、となると、余計に難関大学へ目指す生徒が進学しにくくなります。頑張りたい生徒も頑張れて、なおかつ多様な進路に対応する学校。それが今苦しんでいる学校に突きつけられている課題です。


◯私が思う普通科
今目の前の生徒にも話している内容ですが、大学にせよ専門学校にせよ、これからの人生で自分に必要なものを自分で勉強することに変わりはありません。ゆえに、その土台となる知識や、学習習慣を身につけられるのが普通科だと思います。目指す大学のレベルが上がれば上がるほど高度な学習が必要となるため、授業内容を越えて、個別に知識レベルや習慣の質を向上させる必要はありますが、その土台の部分は中学校へ向けて広くアピールしていくべきだと思います。その学力の客観的な数値は共通テストであるべきだとも思っています。
今は必要かどうかの一点だけで、勉強する生徒が増えているように思います。必要かどうかなんて30歳の私にも未だに分からないことなのだから、高校生の彼らには「共通テスト◯◯◯点以上の学力をつけて卒業させる」という目標に向かって勉強させ、その中で直接その力を使って進路実現したり、その学習習慣を使って専門的な知識をつけようとする力強さを身につけさせたりすべきだと考えます。


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