♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

第9章 清掃指導

1.掃除は業者に任せるべき!?

 日本では学校で「清掃」の時間が設けられていますが、そういった文化をもつ国は34%であり、58%の国は掃除を専門家に任せていると言います。(『学校清掃ーその人間形成的役割』沖原豊編著)そういった現状から、日本でも廃止すべきという議論があります。でも私は掃除は絶対に必要だと考えます。掃除を通して学ぶことがたくさんあるためです。

2.清掃場所は保健部より指定あり

 年間を通じてどのクラスがどの清掃場所を担当するかは、保健部より指示があります。その割り当てに従って、メンバーを決めていきます。名簿順に当てはめていくのが一般的ですが、清掃場所によっては男女比を気にすることもあります。トイレはもちろんですが、8人の内男子7人女子1人のように極端にならないようにしています。(女子が可哀想というわけではなく、男子が固まって掃除をさぼってしまうという理由です。)


3.定期的に清掃場所は変えるべき

 清掃場所は固定しても良いのではと考える先生がいます。悪いわけではありませんが、同じ場所を取り組み続けて飽きることを考えれば、いろんな場所、いろんな道具で掃除をする方が良いと思います。また、同じ掃除場所でも違う道具を使えるよう、こちらで工夫してシフトを組んであげるのもアリだと思います。私はそこまでやりませんけどね。


4.任せるのと放置するのは違う

 民度の高い高校では、先生が見ていようともいなくとも自分たちで勝手に取り組みますが、民度の低い高校では先生から指示されないと掃除を行うことができません。後者の学校へ勤務が決まった場合は、放置すればするほど教室が乱れます。だから、定期的に何をすべきか考えさせ、任せることが大切です。ここで気をつけなければならないのが、指示をしすぎてしまうことです。これは私自身反省すべきことですが、掃除の中で何をすべきか事細かに説明しすぎると、めでたく指示待ち人間が誕生します。真面目な生徒ほど、先生の言われたとおり実行して褒められたいと思う傾向があるため、注意が必要です。


5.オススメの清掃方法

 (1)ほうきはモップのように引きずらず、細かく動かしてゴミを集めていきます。学校にあるほうきはTの形になっているため、掃いた後にゴミが残らないよう、まっすぐに進んでいきましょう。集まったゴミはちりとりと小ほうきで片付けます。また、掃除が終わったあとに毛先に付いた埃を専用の道具で落として終了です。
 (2)雑巾は基本的に濡らして使います。から拭きが良い例もあるため、場面に応じて使い分けが必要ですが、短時間での清掃の場合、から拭きで終えることはほとんどありません。先生によっては半分を濡らして、半分はから拭きにするのが常識だという人もいます。どんな方法であっても、雑巾を絞って、半分に畳んで四角を描くように拭くよう心がけます。窓の桟(サッシ)やチョーク受けなど狭いところを吹くときには雑巾の四隅上手く使って拭いていきます。窓はなかなかキレイになりませんが、四角を描くように心がければマシになります。
 (3)たわしやスポンジは場所に応じて使えれば問題ありません。手洗い場であればクレンザーを、便器であればトイレ用の前栽などを同時に使うとキレイになります。やみくもにゴシゴシするのも、舐めるように拭くのも意味は無く、汚れのあるところを決め打ちして磨くことを心がけましょう。
 (4)トイレ掃除の場合は、汚れを拭き取るシートを活用できると良いと思います。なければ雑巾で代用しましょう。
 (5)掃除道具ではありませんが、黒板はマイクロファイバー布で水拭きし、雑巾のから拭きをすることでキレイになります。黒板消しはクリーナーを使ってキレイにしたあと、窓の外ではたくことで細かなチョーク汚れを落とせます。黒板消しクリーナーは、中のチョーク粉を紙に包んで燃やせるゴミとして捨て、あとは手洗い場で水洗いをします。洗ったあとは、洗濯ばさみなどを使って、教室にぶら下げて乾かしておくと良いと思います。


6.指示できなければあなたがやるべきです

 私は初任校で校長先生から、清掃指導の大切さを学びました。私は教室3カ所を担当していましたが、生徒に逃げられて全くキレイにできなかったので、みんなが帰った後や登校してくる前に掃除を頑張りました。この習慣が、担任を受け持っているとき、毎朝掃除をして、机と椅子の整頓を欠かさず行っていました。教室がキレイになっていると生徒たちが落ち着いて授業を受けられ、成績もアップします。


7.割れ窓理論

 教室のキレイさと生徒の様子に相関性があることは、れっきとした理論からも明らかです。割れ窓理論です。これは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案したもので、「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方から名づけられたそうです。(この文はwikipediaから持ってきました。)今まで12年間、いろんな教室を見てきましたが、落ち着きのないクラスや、秩序が保たれていないクラスの多くは、ごみが落ちていたり物が雑然と置かれたりしています。これはまさに「割れ窓理論」の悪い例だと思います。かつて私が学級崩壊させかけた時も、学年の先生方に手伝っていただくとともに、毎日欠かさず黒板と教室の掃き掃除、時々床の雑巾がけを行ったおかげで、何とか持ちこたえました。これからも掃除を通して生徒の心を落ち着かせ、穏やかな学年運営に心がけたいと思います。


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