♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【人事交流】掃除はなぜ大切か?

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▼ 清掃を見直す
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今回は人事交流後、最も力を入れている「おそうじ」に関して話していこうと思います。小中学校では給食の後に清掃の時間がありますが、高校では1日の最後に設けてあることが多い現状があります。そのこと自体は間違いではないのですが、どうしても高校では、授業が終わったら、後は部活動だ!とか、補習だ!とか考えて、あまり清掃を重視していないように思います。そこで、中学校の経験からなぜ清掃を丁寧に行わせる必要があるのか。そして高校進学後になぜそれができなくなるかなど、さまざまな立場から考えてみようと思います。


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割れ窓理論
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元々、この清掃の大切さは教員1年目に、当時の校長先生から教わった考え方から学びました。「割れ窓理論」です。

この京都府のHPでも言う通り、些細な落書きも見逃さず消して、綺麗を保つというところから、学級経営をスタートさせました。周りの先生からは「先生の教室はいつも綺麗だね」と声をかけてもらえるようになりました。これは中学校へ異動した後も続けていました。

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▼ 見えているようで見えていない世界
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中学校でも同じように掃除をしているつもりでしたが、学級が荒れました。よくよく見てみると、他のクラスに比べて、生徒のことをよく見ておらず、叱ってばかりいたことに気づきました。元は綺麗にすることからスタートした清掃が、彼らのことをもっとよく知るための活動へと切り替わった瞬間でした。
より丁寧に清掃するようになって気づいたことは、黒板が汚いことでした。黒板が汚いことで、授業に集中できていないようだったので、黒板磨きには何が最適かを研究し、ついに百均のマイクロファイバー布が最も良いことが分かりました。
また、机の落書きも多いことに気づきました。落ち着きのない生徒の机はいつも汚く、たくさんの落書きがあったため、消しゴムや除光液でこまめに消しました。たまに私の"黒板エッセイ"が消されることもありましたが、落書きを消すことでクラスが落ち着いていきました。
さらに机と椅子の整頓にも心がけました。これは、マジックで印をつける方法ではなく、窓の縁や時計の位置などを参考に整頓するよう指導しました。これは、整頓することを目的とはせず、"いつもと同じように机を整えておこう"という意識をつけるためのものです。結果的に良い方向へは向かったと思います。

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▼ 高校は汚い
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高校へ異動して最初に感じたのは、教室が汚いということです。おそらく数年前であろうガムの吐き捨てた痕や、窓とロッカーの間に挟まれていたプリントの数々。なるほど、だからこの学校は人気がなくなってきているのだと確信しました。
そこから1学期間は、自分の教室をまず綺麗にすることを心がけました。我がクラスの生徒たちにどのような変化が見られるかを観察するためです。でもさすが高校3年生、「先生は私たちのことを観察していますよね。」と言われてしまいました。その通りです。
そこで2学期からは、私が清掃に力を入れる理由を伝え、丁寧に掃除に取り組む大切さを教えました。何人かはそれを踏まえてできるようになっていきました。
先日、中学生向けの学校見学会があり、中学生たちに感想を聞いてみました。答えは「高校ってボロいですよね」でした。なるほど、汚いかどうかだけでなく、新しいかどうかも重要なのだと感じました。けれども、すべてを新品にするのはなかなか難しいことです。だから、せめて綺麗に使っていくことが大切なのだと改めて感じました。


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▼ 中学校の清掃指導
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中学校1年生の担任を受け持った時、愕然としたことがありました。箒や雑巾の使い方を知らないのです。小学校で教わってきたはずのことができていないのか、そもそもやってきていないのかは定かではありませんが、掃除ができないのです。
そこで私は箒の持ち方、掃き方、掃除道具ロッカーへしまう前にホコリを取ることを1から説明して取り組ませました。すると、それを丁寧に行える生徒が出てきたのでたくさん褒めたら、周りもこぞって真似をし始めたのです。(ここは中学校1年生だからですね。)もちろん雑巾も、絞り方、畳み方、かけ方を教えました。レース文化(誰が一番早く雑巾がけできるか勝負する文化)もありましたが、私は長方形に雑巾がけを行うやり方を教え、全員が膝をつけてひたすら床を磨いていきました。ここまで教えないとできなかったのです。


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▼ 高校は指導しない
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一方高校へ進学すると、それぞれに任されるため、そこまで指導することはありません。(されたら嫌ですよね。でも私はしますけど。)高校3年生にどこまでやらせられるか試してみましたが、やり方を教えれば、多少雑ですが、案外素直に取り組んでくれました。結局は、先生側がここに手を入れるかどうかの問題なのだと実感しました。では、なぜ高校の先生は指導しないのでしょうか。

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▼ 高校で清掃指導しない理由
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一番の理由は、ある程度できるから任せておこうということです。さすがに真面目に取り組んでいる生徒に、このやり方でやりなさいと言われたら腹が立ちますよね。(私はやりますけど。)だから、真面目に取り組んでいない生徒を叱り、とりあえず取り組んでいる生徒には多少気になる部分があってもわざわざ声はかけないのです。
そして、清掃にあまり時間をかけたくないというのも本音です。部活動に1秒でも早く行きたい、補習を1秒でも早く始めたい、業後指導を1秒でも早く始めないと、と思えば必然的に清掃にかける意識は低くなるのでしょう。先生によっては、清掃を早く切り上げ、帰りのSTを始めてしまう場合もあります。高校はそういう雰囲気なのです。


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▼ どうしたら良いか?
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最後に提言です。中学校では学年、学校全体で統一したやり方で清掃が行われているが、高校はそうではないという現状を踏まえ、私は、清掃の仕方ではなく、清掃に対する意識の統一が図れればと思います。
掃除場所によっては、時間がかかる所もあれば、すぐに終わってしまう場合もあります。そこでの原則は、時間いっぱいやれるよう先生が指導することだと思います。でも高校生相手には、なかなかやりきれない部分もあります。そこで、「綺麗」の基準を示し、この状態に向けて清掃に取り組むよう指示をするのです。最初はなかなかできませんから、実際にやってみせることもあるだろうし、先生が後でこっそりやる必要も出てくるかもしれません。でも、大人が一般的に考える綺麗さを生徒も共通理解できれば、多少やり方が雑でも仕方のないことかなと思います。
ただし、私は違います。中学校の基準で、圧倒的な美しさを学校全体に見せつけ、ここまでやれると気持ちが良いのだということを見せつけていきたいと思います。最近は、廊下掃除もスタートさせました。まずは私が行動し、自分もやらないと、と思う先生や生徒がある程度出てきたら、次のステップに進もうと思います。あと数年間は、私1人での活動にもなりかねませんが、学校が良い方向へ向かうことに間違いはありませんので、地道に続けていきたいと思います。数年後、人気校になったら体験を本にして出発してやろうかとも思っています。その時までお楽しみに。



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