〇PISAは何のためのものか?
OECD(経済協力開発機構)が実施している国際学力調査のことで、2000年から3年ごとに実施している。18年調査では79か国、約60万人が参加しているのだそう。対象年齢は15歳児、それは義務教育終了段階で、どの程度学力がついたかを測るためだそう。
〇この調査で分かること
●キーコンピテンシー
この調査では、読解リテラシー、数学リテラシー、科学リテラシーの3つの能力を中心に測定するのだそう。これが「学力」そのものを表しているように勘違いしてしまいがちですが、そうではありません。これらは学力の一部である「キーコンピテンシー」を測るためのものです。例えば、言語野知識を用いる力、それらを生かして様々な人と協力していく力、自らの意志に従って行動する力などです。これらは「学力」の一部であって、とても大切な能力の一つですが、PISA調査で結果が芳しくなかったとしても、学力全体が下がったとは言い切れないのです。
●日本人の弱点
調査から分かったことの一つに、「熟考・評価的思考の弱さ」があります。例えば、文章の書き方や対立する意見の場合、どちらの方が説得力を持つかなどの判断ができない生徒が多かったのです。もちろん、文章中の内容を書き抜いたり、言い換えたりすることは入試でもよく出題され、得意分野でもありますが、PISA調査ではそれだけを見ているわけではないのです。
●社会階層間格差を反映した学力
残念ながら、社会経済文化的水準により(いわゆる家庭の経済状況により)学力に差があることも分かりました。特に「学ぶ楽しさ」「学ぶ意味」を分からないまま育ってきた生徒の多くは、その水準が高くなかった生徒だといいます。(詳細は②へ)
〇まとめ
これらのデータも含め、2018年の調査では、「学力低下」という単純な捉え方ではなく、今後どういった教育政策をとり、どのような力を生徒に身につけさせるかを考えていく指標という側面が強いのだと思いました。