♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

総合学科の本質

http://toyokeizai.net/articles/-/160830

 

フェイスブックでいろいろ見ていたら、この記事にたどり着きました。私の過去の勤務校には、総合学科を設置する学校がありました。

文科省のHPには、総合学科の説明として以下のことが記述されています。

 

総合学科は、普通教育を主とする学科である「普通科」、専門教育を主とする学科である「専門学科」に並ぶものとして、平成6年度から導入されたものです。 総合学科で行われる教育の特色として、

幅広い選択科目の中から生徒が自分で科目を選択し学ぶことが可能であり、生徒の個性を生かした主体的な学習を重視すること。
将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせる学習を重視すること。
などが挙げられます。

 

これらのことから、総合学科の特色は①自分で授業を選択できる②進路を考える時間が多いと言えます。これらを勘違いしている生徒が何人かいます。例えば、①に関しては、自分の受けたくない授業を受けなくて済むと考えること。選択する時も、楽な内容、どの先生が授業を持ちそうかなどの理由で選択することなどです。カリキュラム上それは無理ですが。②に関しては、職業が決まればそれだけで良いということ。趣味の範囲でやりたいことを将来の仕事として選ぼうとし、そのことは詳しく知っているからと言って、知識を広げようとしないことなどです。

どちらとも、総合学科が何のためにあるのかを理解して入学せず、総合学科を理解している先生の話に耳を傾けることなく卒業していくことに原因があるように思います。

総合学科とは、自己理解と、自己の特性を生かした社会貢献の形を明確化することにあります。もっと簡単に言えば、自分が得意なこと、好きなことを知った上で、どんな形で社会のために働けるかを考えていくということです。その過程の中で、得意なことと、好きなことにズレが生じることもあるし、それらが一致していても、生かせる仕事が見つからないこともあります。また逆に、就きたい仕事があって、自分を理解した時に、勉強が足りない、意識が足りないと気づかされることもよくあります。これらの「苦しみ」を多く感じられるのが総合学科の大きな特徴なのです。

しかし、それらを避けるように学校生活を送る彼らにとっては、総合学科の本質を理解せず卒業していき、その先でたくさんの失敗をしていきます。そして失敗を通して、総合学科でやりたかったことをやっと理解する人もいれば、そのまま自分に妥協し続けて生きていく人もいます。

 

自分は何ものであり、何のために、何に向かって、何を学ぶべきか

 

この本質を理解する人が、総合学科へ進む場合も、そうでない場合も、増えていってくれるよう力を尽くします。