♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

RADWIMPSの「正解」を分析する

卒業ソングとして衝撃を受けました。この曲を分析していきたいと思います。この曲は、昔を懐かしむ歌詞から始まっています。これは作詞の野田洋次郎さんが18祭という番組のために書き下ろしたからこそ書けるのも理由の一つです。

 

この先に出会うどんな友とも 分かち合えない秘密を共にした

→今思い返すと、あの時の友達とは、あの時だからこそ共有できた秘密があった。


それなのにたったひと言の 「ごめんね」だけ
やけに遠くて言えなかったり

→それだけ仲良しだったのに、些細なことでケンカになっても、意地を張ってなかなか素直に謝ることができなかった。

 

明日も会うのになぜか僕らは 眠い眼こすり 夜通しバカ話

→あんまり会えないから、というよりは「いつめん」だからこそ、いつも同じような話ばかり、しかもしょうもない話をずっとしていたね。


明くる日 案の定 机並べて居眠りして 怒られてるのに笑えてきて

→次の日にやっぱり、同じクラスで近くの席で居眠りして、同じように叱られて、でもそれが楽しくて嬉しくて

 

理屈に合わないことを どれだけやれるかが青春だとでもどこかで僕ら思っていたのかな

→理屈で分かっていることに敢えて逆らって生きていくことこそ青春だ、と私たちは思っていたのかもしれない

 

あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ そのせいだろうか

→その考えは、必ず答えがある問題ばかりを学校で教わってきたからだろうか


僕たちが知りたかったのは いつも正解などまだ銀河にもない

一番大切な君と 仲直りの仕方
大好きなあの子の 心の振り向かせ方

→私たちが知りたかったのはいつも決まった正解がないもの。近くはおろか、銀河系にすら存在していないものである。例えば、一番大切なあなたと仲直りをする方法や、大好きなあの人を好きにさせる方法だとか。


なに一つ見えない 僕らの未来だから

→私たちの未来だから何一つ見えない


答えがすでにある 問いなんかに用などはない

→世の中にある、答えが見つかっている質問は役に立たないから必要ない

 

これまで出逢ったどんな友とも 違う君に見つけてもらった

→これまで出逢ったどんな友達にもヒントを見つけてもらったし、そのヒントは全て違うものだった


自分をはじめて好きになれたの 分かるはずない
君に分かるはずもないでしょう

→自分を初めて好きになれたんだ。自分に分かるはずないことだから、あなたに分かるはずもないことでしょう。

 

並んで歩けど どこかで追い続けていた 君の背中
明日からは もうそこにはない

→横並びでいつも同じだと思いつつ、それでも無意識にあなたを目標にしていた日々。明日からは別々の道に進むから、もうあなたはいない。

 

あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ そのせいだろうか

→その考えは、必ず答えがある問題ばかりを学校で教わってきたからだろうか


僕たちが知りたかったのは いつも正解など大人も知らない

喜びが溢れて止まらない 夜の眠り方
悔しさで滲んだ 心の傷の治し方
傷ついた友の 励まし方

→私たちが知りたかったことは、いつも正解をもっているような大人でさえ知らないもの。例えば、嬉しくて嬉しくて眠れない夜の眠り方、悔しくて悔しくて傷ついた心の癒し方、心が傷ついた友達への励まし方。

 

あなたとはじめて怒鳴り合った日 あとで聞いたよ 君は笑っていたと

→あなたと初めて怒鳴り合った日。自分と別れた後にあなたは笑っていたと聞いたよ。


想いの伝え方がわからない 僕の心 君は無理矢理こじ開けたの

→想っていることが伝えられない私の心を、あなたはいろんなことをしてこじ開けたの

 

あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ

→必ず答えがある問題ばかりを学校で教わってきたよ

 

だけど明日からは
僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ また逢う日まで

→だけど明日からは私だけの正解を、あなたと逢う日まで、さぁ探しに行くんだ

 

次の空欄に当てはまる言葉を
書き入れなさい ここでの最後の問い

→次の空欄に当てはまる言葉を書き入れなさい。卒業する今日、最後の問題。

 

「君のいない 明日からの日々を
僕は/私は きっと □□□□□□□□□□□□□□□□□□」

→あなたのいない、明日からの日々を、私はきっと。

 

制限時間は あなたのこれからの人生
解答用紙は あなたのこれからの人生

→私は、私の人生という長い時間をかけて、答えを書いていく。(今の私が当時の私に向けて「あなた」)


答え合わせの 時に私はもういない

→答え合わせの時には、私はこの世にいない。


だから 採点基準は あなたのこれからの人生

→だから採点基準は、私のこれからの人生。(これも、今の私が当時の私に向けて「あなた」)

 

「よーい、はじめ」

→卒業して、ゴールテープを切るのではなく、スタートの号砲がなるような意味で「よーい、はじめ」

 

私は30歳で、当時高校3年生だったあの頃を思い出しながら分析していましたが、とても共感できました。今卒業生の立場にいる人(15や18の人)は、これまでの学校生活を鮮やかに想像しながら歌えるだろうし、卒業から何年も経った人は、あの頃の青春を懐かしみながら、今あの人はどうしているのか、自分は思い通りに生きているのかという問いを改めて自分自身にするだろうと思います。アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」以来の、心に残る卒業ソングでした。一度お聴きください。

18祭の動画↓↓

https://youtu.be/xKjFYKWCDas