♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【免許更新】選択必修② 学力格差の現状と課題

〇学力格差について
 社会経済的背景と子どもの学力に相関関係があることが分かりました。例えば、数学の興味・関心や楽しみがあるかという質問に対して、水準の高い生徒は44%、水準の低い生徒は30%でした。(OECD平均は、高い生徒が58%、低い生徒が51%で、日本の学力格差が目立っています。)学校間格差も広がっています。具体的に近所の高校を例に見ればよく分かると思います。例えば進学校A高と教育困難校B高と比較したら、当然A高の生徒の方が興味・関心は高いですよね。そして、保護者を見てみると、経済状況のよい家庭が多いというのです。
 さらに、最近では地域格差も広がってきました。もともとは、都鄙(とひ)格差、つまり都市部の経済水準が高く、農村部の経済水準が低かったことから格差が生まれていましたが、今はつながり格差、つまり人とつながりの強い農村部の方が、つながりの弱い都市部に比べて学力が高いという結果が出ました。これは、孤立化すると、頑張ろうとしたときに応援してくれる人が周りにいないことが原因だと考えられます。


〇本当に経済格差だけが学力格差を生んでいるのか?
 ここまで露骨にデータを持ってきて論を進めていくと、親の経済状況だけが子どもの学力を決定づけるように捉えられかねません。でもそうではありません。

●理由①相対的貧困
 生きていくのが精一杯な状況を「絶対的貧困」と言います。対して、教育や医療、余暇や嗜好品といったものが水準より下の状況を「相対的貧困」と言います。習い事もその一つですね。

●理由②文化的要因
 親の学歴や子どもへの進学に対する期待度が関係しているということです。例えば、大学進学の親が「最低でも大学は出てほしい」と言う状況がそれにあたります。

●理由③社会関係的要因(社会関係資本
 学校内での人間関係や親子関係、地域の方との関係が関係しているということです。


〇まとめ
 これら三つのものが複合的な原因となって、学力格差が生まれていることが分かりました。ただ、2018年のデータだからと言って、こういうことはあまり言いたくないなとも思いました。