♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

【免許更新】心理⑥バイアスと条件付けについて

〇連言錯誤
 「リンダ問題」(Tvensky&Kahneman,1983)
リンダは31歳で独身である。とても頭がよく、ものをはっきりいうタイプである。大学時代は哲学を専攻した。差別問題や社会正義の問題に強い関心を抱いていて、反核のデモに参加したことがある。
次の2つのうち、どちらの可能性が高いかを答えなさい。
(1)彼女は現在、銀行の出納係をしている。
(2)彼女は現在、銀行の出納係をしており、女性解放運動に熱心である。

多くの人は、(2)を選んだといいます。(1)の方が、条件が緩く、可能性が高いはずなのに選んでしまったのは、こんな人ならいてもおかしくない、違和感がないと思っているからです。この「出納係」と「女性解放運動家」が連言になっているため、このバイアスのことを連言錯誤と言います。


ヒューリスティックスとアルゴリズム
ヒューリスティック
 ある程度有効であることが経験的にわかっている「うまいやり方」のことで、常に正しい結論や答えに到達するとは限らないものです。先ほどのリンダの例はまさにこのヒューリスティックスですね。

アルゴリズム
 必ず答えに到達できることが保証されている一定の手順のことです。こちらのほうが良いに決まっていますが、少々時間や手間がかかってしまうのですね。


〇古典的条件づけ
 イヌにメトロノームの音を先に聞かせて、後に餌を与える作業を何度も繰り返すと、メトロノームの音だけで唾液を出すようになったという実験がありました。(パヴロフの実験)
 この働きは「餌」によって「唾液」が出るのは、無条件刺激(出てしまう)ですが、メトロノームの音によって「唾液」が出るのは、音が鳴ったから餌が出てくるに違いないという条件刺激(音が鳴ったから出る)だといえます。


〇オペラント条件付け
 中に入れられたラットがレバーを押すと餌が出てくる仕掛けを作っておくと、ラットがレバーを押して餌を食べる行動が見につくという実験がありました。(スキナーの実験、スキナー箱)


〇強化と消去
 パヴロフの実験では、餌と音の対提示を「強化」と言います。これによって音刺激が唾液反応を生じさせます。スキナーの実験ではレバー押しという反応に対する餌という刺激が与えられることを「強化」と言います。これは、反応→刺激なので、パヴロフの実験とは逆ですね。
 一方で、どんなことが起きても、その後に何も起きなければ動作がなくなっていきます。これを消去と言います。


〇般化と分化
 これらの刺激は、まったく同じでなくとも発生する場合があります。例えば、パヴロフの実験では音の高さを変えたとしても唾液の分泌が起こるのです。これが「般化」です。ただし、音の高さを変えたとき、餌が出ないことを何度も繰り返せば、分泌が起こらなくなります。これが「分化」です。


〇学習性無力(感)
 動物に対して電気ショックを刺激として与えることを繰り返すと、反応を示さなくなります。これは人間でも同じですね。不快な思いを何度も経験すると、やる気がなくなってしまう。まさにこれが学習性無力(感)なのです。


〇まとめ
 前半のバイアスは誰でも起こりうるミスです。これが大きなミスにならないように、人間の特性を理解しておくことが大事だと感じました。また後半の条件付けも、うまくやれば気持ちに左右されず行動できますが、一つ間違った行動が見につくと無力化する危険性があることも分かりました。