♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

敬語の種類

1800字近くあります。

今回は敬語について扱います。中学校では口語文法で、高校では古典文法で扱う重要事項ですので、どちらともに共通して言える、今使われている敬語とはどのようなものがあるかを中心に説明していきます。

 

◯そもそも敬語とは何か

一般的には、相手に敬意を示すものと言われていますが、自分は敬語のことを「立場の上下関係を表すもの」と説明します。例えば、知らない2人が会話しているのを見ていたとしましょう。一方は敬語、もう一方は"タメ語"で話していたら、どちらの立場が上だと思いますか?当然敬語を使われている人が上だと感じるでしょう。これが敬語であって、古典での敬語の発想と言えます。

ではお互いに敬語を使い合っていたらどうでしょうか。それはお互いがお互いを認め合っている状況、つまり敬意を示す意味にもなるし、もしかしたら経験年数が長くて若い人と、年数が短くて若くない人とを表す可能性だってあります。ここが敬語の難しいところですね。

 

◯尊敬語

敬語の種類を語る上で最初に出てくるのは尊敬語です。これは階段でイメージしてください。最初は2人とも0段に立っていますが、尊敬語を使うことで相手(敬語を使われる人)が1段上に上がるのです。だから、尊敬語は「相手を立てる」という言い方をするのです。また、現代でも天皇陛下に対しては意味のわからないほどの大量の敬語を使って表現します。古文では二重敬語と言って、2つ使う例も見られますね。

 

◯尊敬語の具体例

いらっしゃる、おっしゃるなど

 

◯謙譲語の概要

謙譲語の基本的な考え方を、再び階段で説明します。今度は階段を登り切った場所からスタートです。最初は2人とも最上段に立っていますが、謙譲語を使うことで自分(敬語を使う人)が1段下に下がるのです。だから謙譲語は「自分がへりくだる」という言い方をします。ただし、謙譲語には相手がいない場合もあります。これも含め、謙譲語は2つに分けられます。

 

◯謙譲語I

先ほど具体例を出したイメージ通りのものです。具体的には、伺う、申し上げるなど。

 

◯謙譲語II(ここでは丁重語とします)

相手に対してではなく、相対的に(文を読む人、話を聞く人といった、他との関係の中で)使われるものです。具体例は、参る、申すなどです。よく面接試験で、「◯◯から参りました⬜︎⬜︎と申します。」という言い方が例として出されますが、これは目の前の面接官に対する敬意ではなく、単に自分がへりくだっただけの表現です。ここで疑問に思うのが、「◯◯先生のもとに参ります」は相手が明確で丁重語じゃないのでは?ということです。

実は元々同じものとして扱われていたので、丁重語に分類されていても謙譲語Iの使い方で使われることもあるのです。けれども、逆に丁重語を謙譲語Iに使うことはできません。

 

◯愛知に参る

×愛知に伺う

 

この例のように、相手が人でなくとも使えるのが丁重語と言えます。

 

◯丁寧語

丁寧語の基本的な考え方は、階段でなくとも説明できます。それは距離感です。初対面の人とは心の距離があるため、お互いに丁寧語を使います。しかし、相手と仲良くなっていくにつれて"タメ語"を使ったり立場に応じた敬語を使ったりするようになるのです。つまり、丁寧語を使うことで人と人との距離が空くと言えます。しかし、謙譲語と同様に人相手ではない表現もあることから、丁寧語も2つあります。謙譲語ほど複雑ではないので、すぐに分かると思います。

 

◯丁寧語I(普通こんな言い方はしませんが、区別するためにこう示します)

この分類の例は「です」「ます」「ございます」です。サザエさんはオープニングで「サザエでございます」と言うのが丁寧語Iです。

 

◯丁寧語II(一般的に美化語と言います)

これは距離感というよりは、上品さを表すものです。例えば、飯(めし)→ご飯(ごはん)、腹(はら)→お腹(おなか)です。最近では名詞に「ご」「お」をつける例が広がってきて、「お茶」だけでなく「おビール」のような使われ方もされるようになりました。

 

敬語は社会人になってから強く感じさせられる表現ですから、中高生の皆さんは知識をつけておくと、いざ使う時になったら役に立つと思います。もちろんテストにも出ますけどね。