♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

先生たちの歌声

2020年2月27日、安倍総理からの突然の発表がありました。全国すべての学校で休校が決まったのです。

在校生からの送辞、合唱は28日に行われ、卒業式は卒業生と先生たちだけで行われることになりました。

卒業生が先生に向けて歌うだけの寂しい卒業式。「そうはさせない」そう決意した先生方の間で思いついたことが、サプライズで合唱をすることでした。別々の小学校で、卒業式に歌った思い出の曲「絆」この曲が選ばれました。

この曲を歌うことになりました、と正式に発表されたのは卒業式が始まるちょうど24時間前でした。この瞬間から、卒業式の準備と並行して合唱練習が行われたのです。

まるで生徒たちのように、CDをかけながら、YouTubeを再生しながら、何度も何度も練習を重ね、午後にはとりあえず形になりました。

卒業式当日。いよいよ合唱の瞬間。ピアノには音楽の先生が、指揮台には吹奏楽の先生の姿がありました。前奏が流れた瞬間、何人かがマスクで覆われた顔に手を当て、必死でこちらを見ていました。その様子を見た我々も涙をこらえながら、覚えたてのピッチをなぞらえながら…。

 

君と僕の大切な絆 いつまでも切れないように

ずっとずっと守り抜こう 心の中でつむいでいく

消えることはない いつまでも

 

自然と聞こえてくる温かな拍手の音。今度は生徒たちの番です。先輩達が歌い継いできた曲「群青」を歌います。もう何人もの生徒が、目を真っ赤にして。でもその表情はどこか晴れやかでもありました。

 

きっとまた会おう

あの街で会おう 僕らの約束は

消えはしない 群青の絆

 

先生と生徒との絆。卒業式で感じることができたのは、この日が最初で最後でした。