♯黒板エッセイ

高等学校の先生になった人が最初に読むべきこと

生徒へのメッセージと出版予定の書籍原稿をアップしています。出版社は決まっていません。教員12年目

3年前に書いた文章

朝読での取り組み

 

本校では、毎朝8:35になると、チャイムが鳴り、どこからともなく"G線上のアリア"が流れます。これが「朝の10分間読書」通称「朝読」の始まりです。私は、初任3年目で初めて担任を受け持ち、副担任だった2年間よりも、いっそう生徒との距離が近づいたように感じます。初めての朝読、「どんな本読んだらいいか分からん」と不満を口にする生徒もいました。本を読む経験の乏しい彼らにとっては、朝読は負担だったようです。でも、私物の本を「マイ文庫」として貸し出しを行い、また副担任の先生のおかげもあって、落ち着いた雰囲気を作り出すことができました。

そんな快い雰囲気であっても、本を読もうとしない生徒がいました。彼は普段授業に対して無気力だったので少し工夫が必要だと思っていました。そこで、当時流行っていた百田尚樹の『永遠の0』を薦めてみました。少し分厚かったのですが、「試しに読んでみろ」という気持ちを込めて手渡しました。数日後、生き生きした表情で「これマジで面白いよ」と話しかけに来る彼の姿がありました。彼の中で、初めて本を読む楽しさを知ったらしく、そこから数ヶ月かけてゆっくり、ゆっくり読み進めていき、ついに読み終えることができました。

担任として、目の前の生徒たちが2年後どんな姿に変わっていくかを考えながら、日々試行錯誤していく。そんな毎日が楽しくて、やりがいがあり、頑張る気力を感じながら、毎日生徒の前に立っています。

 

彼は現勤務校出身の生徒でした。ふとしたことから好きなことに気づけるっていいですよね。